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ドリトル先生の長崎での出会い

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第七幕その九

「反省して贖罪を続けている様な」
「ああ、そうした風ね」
「過去のことを思いながら修道院にいて」
「そこで神様に仕えて贖罪を続けている様な」
「そうした感じだね」
「そう思うよ、何かね」
 まさにというのです。
「そんな感じがするね」
「そうだね」
「何かそこも中尉みたいだね」
「中尉は絶対にあの後罪の意識に苦しんでいるから」
「それも一生ね」
「心から深く強くね」
「だからね」
 それでというのです。
「あの人を見ていると」
「やっぱり中尉だね」
「中尉を思い出すね」
「舞台の中尉を思わせる雰囲気で」
「お話の後の反省して後悔している中尉も連想するから」
「そうだね、けれど僕が思うに」
 先生は皆に遠いものを見る目でお話しました。
「自分が行ったことじゃないと」
「罪に思うことはないよね」
「反省したり後悔することも」
「そんな必要はないね」
「全く以て」
「そうだよ、だからね」 
 それでというのです。
「間違ってもね」
「自分がやったことでないなら」
「反省したり後悔することはしないで」
「例えご先祖様がしたことでも」
「前向きに生きることだね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そうすることだね」
「まさにね」
「そうしたことを考えて後ろ向きになるより」
「前向きに生きることだね」
「そうすべきだよ、若し中尉の子孫の人達がいても」
 それでもというのです。
「中尉の罪は中尉の罪でね」
「子孫の人達には関係ないね」
「それも全く」
「お子さんもお孫さんも」
「そうだね」
「あの後日本とアメリカは戦争になって」
 歴史のこともお話しました。
「原爆も落とされたし日系人の人達も収容所に入れられたね」
「アメリカ西海岸にいた人達がね」
「そうされたね」
「アメリカ人だったのにね」
「酷いよね」
「これは人種的偏見の最たるものでね」
 そうであってというのです。
「決してあってはならなかったもので」
「二度とあってはならない」
「そうしたものだよね」
「生まれだけで差別する」
「そんなことはね」
「それが起こってしまって」
 それでというのです。
「十万以上の人達が収容所に入れられたけれど」
「若しかして」
「その中に中尉の子孫の人達がいた?」
「ひょっとして」
「うん、当時日系アメリカ人は十一万位の人がいて」
 そうであってというのです。 
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