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世界の礎

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第五話 ナイル川その四

 義青はエジプトのファラオに寛大な条件を提示して帝国に入る様に勧めそのうえでエジプト周辺に強力な装備を整えよく訓練された大軍を陸でも海でも見せた、そのうえでエジプトから来た使者達にだった。
 帝国の富、ウルの見事な街並みと豊かな金と銀に宝石これまでの貿易や内政で得たそれを見せてだった。
 帝国の技術の粋を尽くして造った財宝や芸術品それに図書館とそこにある多くの書もそうした。するとだった。
 全てを見た使者とその一行はエジプトに急いで帰るとファラオのその全てを語った、すると今度はだ。
 他ならぬファラオのラメダスが義青に会談を申し出た、義青はそれを受けてだった。
 彼をウルに招いた、そしてそのトロールの大男に問うた。
「これからどうしたいか」
「是非我がエジプトも帝国に加えて下さい」
 ラメダスは畏まって答えた。
「どうか」
「わかった、では今日よりだ」
 義青はその返事を受けて述べた。
「エジプトは帝国の中で富を受ける」
「帝国の政がもたらすそれを」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「そなたも民達も皆豊かになる」
「そうなりますね」
「まず米を植える」
 ナイル川でというのだ。
「そして食べるものに困らない様にする」
「帝国の作物を」
「米以外のものもな」
「そうして頂けますか」
「軍も鉄を与える」
 それもというのだ。
「当然民達にもな」
「鉄もですか」
「そうする、これまでより遥かにだ」
「エジプトも豊かになりますか」
「そうなる、しかも平和にもなる」
 こうもだ、義青は言った。
「賊やモンスターは征伐する」
「そうしてですね」
「豊かになる、安心するのだ」
 ラダメスに静かな声で告げていった。
「エジプトの民達の幸せはな」
「では」
「当然そなたもだ、戦わずして降ったのだからな」
 そうしたからだというのだ。
「約束通りファラオの座はそのままだ」
「神官達も」
「だが奴隷は解放する」
 彼等はというのだ。
「また貴族は土地でなく給与を与えてな」
「それを糧とさせますか」
「そして試験の合否で登用する」
 このことも告げた。
「また度量衡や文字は帝国のものとする」
「わかりました」
「ただこれまでのエジプトの文字は使っていい」
 こうもだ、義青は告げた。
「帝国の公用語ではないがな」
「いいのですか」
「また学者たちに学ばせ記録させてな」
 そうもしてというのだ。
「残しておく」
「そうもされますか」
「公用語は定めるが」
 それでもというのだ。
「しかし使うなとは言わない」
「左様ですか」
「どの国にもそうしていることをだ」
 これまでの帝国の政でというのだ。
「エジプトでも行うだけだ」
「左様ですか」
「だからだ」
 それ故にというのだ。 
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