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金木犀の許嫁

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第五十一話 自然の知識その十四

「豊臣家は江戸時代を生き延びました」
「そのことは間違いないですね」
「公には滅んだとなっていますが」
 それでもというのだ。
「実は」
「それも歴史ですね」
「左様ですね」
「何かです」
 真昼はここでこの話を出した。
「その木下家ですね」
「ご子息が匿われた」
「ねねさんのご実家で」
 秀吉の正妻だった彼女のだ、彼女の兄の家である。
「岸和田におられたんですよね」
「岸和田藩ですね」
「それで藩主の方だけに」
「そうです、一子相伝で」
 幸雄も応えた。
「伝えられていました」
「秀頼公が生きておられたと」
「落ち延びられたと」
「そうでしたね」
「大坂城を発掘しますと」
 そこでというのだ。
「切腹された場所の辺りから人骨が発見され」
「秀頼公ではないかと言われていますね」
「茶々殿とも」
 母であった彼女のというのだ。
「言われていますが」
「その実はですね」
「はい」
「薩摩に逃れておられて」
「ご先祖様達がお護りしまして」
 幸村そして十勇士達がというのだ、この話は実はこの時から江戸時代の間長く言われてきたことだ。
「そうしまして」
「逃れられて」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「そこにおられましたが」
「ご子息もですね」
「生きておられ」
「木下家のお子さんということになっていて」
「分家されて」
 そうしてというのだ。
「江戸時代の間です」
「お家は続いていましたね」
「大名として。そしてそれを幕府はです」
「気付いていても」
「知らない振りをです」
 それをというのだ。
「続けていました」
「歴史の舞台裏ですね」
「はい、そして幕府は」
 幸雄は話を続けた、プールの休憩する場所でそうするのだった。


第五十一話   完


                   2024・11・23 
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