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金木犀の許嫁

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第五十一話 自然の知識その十三

「行かれることです、また住むことも」
「いいですか」
「はい」 
 そうだというのだ。
「お二人のご両親の様に」
「それもいいですね」
「縁がありしかもいい街なので」
 だからだというのだ。
「行かれて」
「暮らすこともですね」
「いいです」
「そうなんですね」
「それで私としては」 
 幸雄は自分の考えをさらに話した。
「大阪にも行って九州にもです」
「行かれたいですか」
「福岡もそうでして」
 行きたい街でというのだ。
「それで、です」
「そのうえで、ですか」
「他の場所にもです」
「行かれたいんですね」
「何処もいい場所なので。鹿児島にしても」 
 縁のあるこの場所もというのだ。
「同じです」
「あそこで、ですね」
 白華は鹿児島の桜島を思い浮かべつつ話した。
「ご先祖様は江戸時代の間おられましたね」
「そうでした」
 幸雄はまた白華に答えた。
「二百五十年以上もの間」
「本当に長いですね」
「そうですね、維新になるまで」
 それまでというのだ。
「ずっと名前を伏せて」
「本来のそれを」
「生きていました」
「薩摩藩の武士として」
「秀頼公の子孫の方々も」
「同じでしたね」
「はい、ただ」
 幸雄はさらに話した。
「秀頼公の直系と言える方は」
「木下家に匿われていましたね」 
 真昼がこのことを言った。
「そうでしたね」
「はい、大坂の陣の後です」
「密かに匿われていて」
「そうして分家しまして」
「ずっと大名として生きていましたね」
「子孫の方々も」
「幕府も処刑されたということして」
「知らない振りをしていましたね」
「そうでしたし」
 それでというのだ。
「ですから」
「直系と言える方々は」
「大名でした、明治の中頃まで」 
 その頃までというのだ。
「お家はありました」
「そうでしたか」
「もう断絶しましたが」
「それでないんですね」
「少なくとも嫡流は」
「ですが明治の頃まで、ですね」
「お家は続いていたので」
 だからだというのだ。 
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