そこまで切羽詰まっているのか
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四章
「それでこっちも撃つしな」
「洒落になってないな」
「ああ、もうな」
マトニコフはうんざりした顔で言った。
「頼りになる援軍どころかな」
「壮絶な足手まといだな」
「今も会話出来ないしな」
「言葉が通じなくてな」
「流石に指揮官同士だとな」
高級士官である彼等の間ではというのだ。
「ロシア語でな」
「話しているか」
「そうみたいだけれどな」
それでもというのだ。
「俺達はな」
「あっちの言葉知らないしな」
「うちには朝鮮族いるけれどな」
「あいつ等と同じ民族だな」
「あいつ等がいたらな」
部隊にというのだ。
「わかるだろうけれどな」
「俺達だとな」
「わかる筈もなくてな」
それでというのだ。
「全くだよ」
「やり取り出来ないな」
「ああ、そしてな」
そうであってというのだ。
「もう遂にな」
「あまりにも役に立たなくてか」
「あれだよ」
マトニコフは言った。
「あいつ等を前に立たせてな」
「盾にしてるな」
「そうだよ」
そうしているというのだ。
「他に使い道なくてな」
「敵に攻撃させてな」
「攻撃させてだな」
「それで俺達が攻撃させたりな」
「地雷原とか歩かせてか」
「地雷除去させてるんだよ」
「あいつ等の命で以て」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「それ二次大戦の時やったな」
「ああ、うちがソ連だった頃にな」
マトニコフは冷めた目で話した。
「やったな」
「懲罰大体だったな」
「何かあった奴をな」
当時の独裁者であるスターリンから見てだ。
「入れてな」
「地雷原とか歩かせてな」
「そしてだよ」
そのうえでというのだ。
「地雷始末させてたな、他の危険な仕事もな」
「やらせてたな」
「ああ、そしてどんどんな」
「死んでいったな」
「それをだよ」
「あいつ等にやらせてるんだな」
「何でもな」
マトニコフの目はさらに冷たくなりそのうえでシェイスキーに話した、目の前にいる彼等を見ながら。
「あっちの将軍様もな」
「それでもいいんだな」
「あの時のソ連みたいにだよ」
二次大戦の頃のというのだ。
「人の命なんてな」
「どうでもいいんだな」
「あそこは将軍様さえよかったらな」
それならというのだ。
ページ上へ戻る