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そこまで切羽詰まっているのか

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第一章

                そこまで切羽詰まっているのか
 ウクライナの戦場でだ、ロシア軍の兵士グレゴリオ=シェイスキーはその話を聞いて顔を明るくさせた。アイスブル0の目にくすんだ短い金髪の面長の大男である。
「それ本当か?」
「ああ、一万だぞ一万」
 戦友のゲンナジー=マトニコフ黒い神と目で彼よりやや背が低いがっしりした体格の彫の深い顔の彼が言ってきた。
「それだけの数がな」
「援軍に来てくれるんだな」
「北朝鮮からな」
「あそこか、そういえばな」
 シェイスキーはマトニコフの話を聞いて言った。
「あそこうちと仲いいよな」
「同盟国だよ」
「そうだよな」
「その北朝鮮からな」
「一万もか」
「援軍送ってくれるんだよ」
「それは有り難いな」
 シェイスキーは笑顔で言った。
「今正直言ってな」
「苦しいしな」
「こっちが押してるって言ってもな」
「損害多くてな」
「ものもないからな」
「兵器はどんどん壊されてな」 
 戦車や航空機がというのだ。
「武器も弾もな」
「どんどん潰れてな」
「質が悪いものになってるぜ」
「しかもなくなってきている」
「最近食いものもな」 
 マトニコフはこちらもと話した。
「やばいしな」
「これで勝ってるのかよ」
「前の戦争でもそうだったらしいぜ」
 二次大戦の時もというのだ。
「やっぱりな」
「ものなくてだな」
「人も死んでいっただと」
「俺達のひい祖父さん達がな」
「二千万死んだからな」
「今度の戦争もな」
「ものもなくてな」
 勝っていると言われていてもというのだ。
「そしてな」
「人も死んでいってるな」
「そうだよ、そしてここでな」
「一万か」
「この一万は大きいぜ」
「ああ、北朝鮮もいいことするな」
「そうだよな」
 戦場でこうしたことを話していた、そしてその北朝鮮軍正式には人民軍という彼等が戦場に来たのだが。
 シェイスキーは彼等を見てだ、眉を顰めさせてマトニコフに尋ねた。
「あの連中何だ?」
「何だって北朝鮮軍だぞ」
 マトニコフもそうした目になっている。
「俺達と軍服違うだろ」
「変な軍服だな」 
 こちらのことを言うのだった。
「俺達と似ている様でな」
「帽子とか変に大きくてな」
「バランス悪いな」
「妙に恰好悪いな」
「ああ、しかもな」
 シェイスキーは彼等を見つつ話した。 
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