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金木犀の許嫁

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第五十一話 自然の知識その四

「海水すくえなくてね」
「そのお水船に入れられなくて」
「悔しそうに帰ったらしいよ」
「そんなことがあったのね」
「実際にね」
「だから船には底が抜けた柄杓も乗せるっていうけれど」
「本当に出るらしいから」
 船幽霊はというのだ。
「俺も怖いと思ってるよ」
「海だと」
「それで何でか長崎県の辺りでね」
 この辺りの海でというのだ。
「妖怪多いんだよね」
「磯女もそうだし」
「あの妖怪吸血鬼だよね」
「人の血を吸うからね」
「こうした妖怪もいるからってね」
「言われてなのね」
「海も気を付けないとって思ってるよ」
 こう夜空に話した。
「山もそうでね」
「どちらの場所も気を付けることね」
「そうだよ、自然の中に入るなら」
 それならというのだ。
「食べものに自然に」
「妖怪にも気を付けることね」
「やっぱりいるからね」
 妖怪は実在するからだというのだ。
「注意しないとね」
「そういえばね」
 ここで真昼が言ってきた。
「昔ある人がバイクでツーリング中にね」
「山で?」
「山道だったと思うわ」
 妹の問いに答えた。
「そこ走ってたら道の横に子泣き爺がいて」
「あの抱くと石みたいに重くなってその重さで人を殺すこともある」
「その妖怪がいてね」
 夜空にさらに話した。
「そっち行ったら危ないよって言ったらしいのよ」
「ツーリングしている人に」
「それで何かって思って引き返したか停止したか」
 そうすればというのだ。
「それで先に行かなかったら」
「助かったのね」
「その先で土砂崩れか何かあって」
「そんなことあったの」
「こうしたお話もあるし」
 それでというのだ。
「うちの学校以外でもね」
「妖怪がいるって言えるわね」
「ええ、普段は人前に出ないだけで」
 妖怪は巧妙に隠れているのかも知れない、人と同じ場所で暮らしながらそのうえで人の目に触れない場所にいるのだろうか。
「実はね」
「私達と一緒にいて」
「そしてね」
 そうであってというのだ。
「ふとしたことで出てくるのよ」
「妖怪の気が向けば」
「それで悪い妖怪はね」
「人に悪いことをするのね」
「そうしてくるから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「佐京君の言う通り注意することね」
「自然の中にいたらね、まあ街でもね」
 人の多い場所でもというのだ。
「妖怪いるしね」
「見えないだけで」
「気付かないだけでね」
 人間達がというのだ。 
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