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彼は いつから私の彼氏?

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10-9

 今年最後の練習日に2年生以下の個人対抗戦が行われた。一応、来年に向けてのランク付けがされるのだ。

 1、2回戦を勝ちあがってきた8人の中に、1年生の莉子が居た。香は花梨と当たっていて早々と敗退していたのだが、次の準々決勝で私も若葉と当たっていて、負けてしまっていたのだ。丁度、私はアレが来ていて、あんまりステップも出来なかったのだ。

 そして、準決勝の時、花梨と莉子が当たって、皆が驚いたことに・・・莉子が最初の2ゲームを連取していたのだ。次の3ゲーム目も8-4とリードしていて、それから花梨も連続でポイントを奪って、そのゲームを取ってからは、完全に花梨は優位に進めて、結局 勝っていた。

 結局、決勝は花梨と若葉で、花梨が勝ってしまったのだけど

「どうしたん? 花梨 莉子相手に・・・」

「うん ちょっと 遊んでしまったかなー でも あの子 すごい 録画みて研究したんだろうな ウチの弱点 ちゃんと突いてきていた ほらっ ウチ 秋元蓮花にポイント取られたんは センターを攻められた時なんやー あの子 それを見て研究してたんや そやからなー でも 最後は そんなに甘もぉーないぞって」

「もぉー 知らんわー」

「ふふっ でもな 水澄 あの子は きっと 伸びるよ 水澄みたいにね! 次のエースや」

 31日大晦日。家の掃除も一通り終わったので、私は表に出てトレーニングをしていたら、智子がやってきて

「水澄 さすがに精が出るねー 年末ギリギリまで」

「そうよー 後ろから追いかけられてるかと思うと じーっとしてられないの!」

「水澄・・・ 神経質になってない? 休めば?」

「休んでなんかいられないわよー 私 卓球バカだからー」

「ふ~ん 先輩は部屋に 居るの?」

「うん エロ動画でも 見てるんちゃう?」

「えっ そんなん ウチがなんぼでも見せてあげるのにー ほらっ 今日は 年末特別サービス 赤いんだよ」と、スカートを捲っていて

「バカっ お兄ちゃんはそんなん見て無いよー ジョーダンだよ サッカー見てるんちゃう? 智子 お兄ちゃんを誘惑せんとってなー」

「わかってるって 勉強 教えてもらうだけ じゃぁネ!」と、遠慮なしに家に入って行った。と言っていたけど、あのローズレッドのんをスカートからチラチラ見せるんに決まっていると、気が気じゃぁ無かったのだ。お兄ちゃんも惑わされんかったらええけどー。智子自体は別にええねんけど、色仕掛けやったら嫌やー・・・。

 夕方になって、お父さんがゴルフの打ちっぱなしから帰って来て

「お父さん 智子が来てるの」

「ほぉー いつものようにな 水澄の友達なんだから良いんじゃぁ無いか」

「でもね お兄ちゃんの部屋にこもってるんよー」

「ああ 勉強教えてもらってるとかー」

「だってさー いつも 短いスカートで・・・」

「だなー あの子 脚がすぅーとして きれいだもんなー」

「お父さん! なんか いゃぁーらしい!」

「おー こわぁー シャワーを浴びるよ 晩はどうするんだ?」

「お母さんが 帰ってきたら お蕎麦でしょ 海老天揚げるからー それまでは、牡蠣フライねっ」 

「そうか いいねぇー 早い目に揚げてくれ」

「良いけどー お父さんの後 私もシャワーするからね その前にね お父さん ちょっとシャワーの前にお兄ちゃんの部屋 のぞいてきてよー」

「そんなこと出来るかよー うっとおーしがられる 気になるんだったら、水澄が行けばいいじゃぁ無いか」

「ダメよー それこそ 嫌がらせみたいじゃない!」

 私がシャワーをして出て来ても、まだ智子は降りてこなかった。私はピンクのもこもこのルームウェアーで、お父さんに言われてお燗の用意をして、たたみいわしを焼いてるとようやく智子が降りて来て

「水澄 帰るからね」

「あっ そう ご飯食べて行くんじゃぁないんだー」と、とりあえず声を掛けると

「うん これから おっかぁーと買い物 間際のほうが 色んなもの値引きしていて安いからね」

「あっ そうかぁー ウチは 何となく お買い物済ませてるからなー」

 牛乳に浸しておいた牡蠣の粒に軽く小麦粉を振って、解き卵にくぐらせて、細かく砕いたパン粉を付けて、揚げ始めていた。お父さんはパン粉が細かいほうが好みでお兄ちゃんはどっちかというと粗目が好みで・・・。その時、お兄ちゃんが降りて来て

「おっ いい匂い うまそー」

「まって お父さんのを 先に揚げているからー どうだった? 赤いのは?」

「えっ なんの話だ? 赤いのってー」

「うぅーん ほらっ あの子 唇 紅いの塗ってたでしょ」

「だなー 年頃だからなーぁ いいんじゃあないの! 冬休み中なんだし」

「リップだけ?」

「・・・だけって?」

「うん いいの 私も お正月は赤いのつけよーかなー そうだ 今日は お蕎麦の後ネ 柚子風呂 そこのおばぁちゃんに柚子をもらったから そうそう 海老の天ぷらを持って行ってあげるの お礼に」

「へっ 海老天がお礼?」

「そうよ お年寄りだし、独りだから 揚げ物しないでしょっ だから、温かいの持って行くからって・・・朝 お話したの その時に柚子をもらったのよ」

「水澄は 誰とでも 親しく 仲良くなるんだなー」

「そんなことないよー でも ジョギングの時は 出会う人には挨拶するようにしてる」

「みたいだなー この秋から 俺も付き合ってて 何人かから チャンピオン頑張ってねって 声かけられて 有名人だものなー 横の俺が恥ずかしいよ」

「そーだね でも 私 もっと 頑張ろうって 力 貰うんだぁー 次は 本当のチャンピオンって」

 お父さんから「うまいぞー フライ 熱々で 若女将 もう1本」と、リビングから声がしてきて「その1本はお高いですよー ピチピチの女将なんですからー もぉー お母さんが帰って来るまでは寝ないでよー お蕎麦 食べるんだからー」

「なぁ 次 俺のん」

「わかってます! お父さんにお燗して持って行ってよー 私はお兄ちゃんの家政婦さんでも何でもないんですからネ!」

「俺の可愛い 妹だよ」

「・・・ まっ いいかー こういう宿命なんだよなー 私は・・・ 歳の瀬に 飲んべえーの親父 一生懸命働くお母さん 家事を押し付けられて動く可哀そうな少女 ぼぉーとした兄」

「お前 熱あるみたいだなぁー」

「あのねぇー このお漬物 お父さんに持って行って!」

「水澄って 何にでも完璧だよなー 素晴らしい女でもあり 良い嫁さんになるよー でもな だけど 俺はお前の唯一 弱点を知ってるんだ 恥ずかしいのをな」

「なによー それっ!」

「いいから 俺のを揚げてくれ 早く食べたいんだよー 手が止まってる」

「ハイ はい わかりましたよー それで 恥ずかしいのんって何?」

「あー 水澄がな 寝ている時 だらしなく口を開けてな たまに よだれも流しながら・・・ソファーの背もたれに股もバカァ~ンと開いてパンツも見えているし、時々 腹を搔いている姿 動画にも撮ってあるよ」

「・・・えぇー そんなん 盗撮やんかー」

「そんなことないよ ここのソファーで いつもやー」

「お兄様 それだけは・・・漏らさないでー おねげーぇしますだぁー お母さんにもお父さんにも」

「あぁ いいぞ そのかわり 水澄は俺の 可愛い家政婦な」

「うっ 脅迫かぁー」

 暗くなってきてから、私はおばぁちゃんの家に揚げたての海老天を2本持って行って、

「おばぁちゃん 持ってきたよ お蕎麦はあるの?」

「あぁ おつゆもあるよ 買ってきておいたからー」

「ふ~ん 出来あいなんだー」

「そーだよ もう ひとりだから わざわざ作らないよ」

「そう お雑煮も?」

「そーだね お味噌汁に小さいお餅を入れる程度かねー 独りだからネ 適当に済ますんだよ」

「おばぁちゃん 明日 私 来て良い? お雑煮の具材は持ってくるからさー おつゆの作り方 教えてぇー 一緒に食べようよ! お願い」

「へっ それは いいけどネ おうちの方が・・・」

「ウチは 朝 早いし・・ 8時にくるよ じゃぁ お願いネ」

 その夜 柚子湯に浸かりながら、私は この1年を思い返していた 一番の出来事は 翔琉とのこと 欲しい 今 愛して欲しい 自然と手をあそこに添えていて、いい感じになってきたら、全中の試合のことが思い浮かんできて、花梨、若葉、香の顔が・・・なんで、あんた等が出て来るのよー

 
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