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ハッピークローバー

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第百五十六話 祭りの中でその十二

「小柄で黒目がちで蛸みたいな唇した」
「あいつ滅茶苦茶性格悪かったわね」
「あんなのもいるから」
「あいついないって思ったら」
「成績も素行も悪過ぎてね」
 その為にというのだ。
「高等部に進めなくてね」
「それでなのね」
「今別の高校にいるのよ」 
 そうなっているというのだ。
「あいつはね」
「いなくていいと思ったら」
「成績と素行がね」
 この二つがというのだ。
「あんまりにもだったから」
「内部進学出来なくて」
「それでね」 
「この学校にいないのね」
「皆喜んでるでしょ」
「ええ、あいつがいないとね」
「ああした奴もいるから」
 一華は真顔で言った。
「日本でも何処でもね」
「あんな性格悪いのも」
「どの国でもね」
 それこそというのだ。
「いい人がいればね」
「悪い奴もいるってことね」
「両方ね」
「そういうことね」
「カンボジアでも性格悪い奴いるでしょ」
「いるっていうか」
 カンボジアの娘が一華に言った。
「ポル=ポトもいたし」
「キチガイよね」
「もうあいつをそう呼ばないと」
 狂人と、というのだ。何の罪もない人を何でもない理由で殺戮していくことを狂気と呼ぶならまさに彼はそれを極めたと言っていい。
「他に誰をそう呼ぶのか」
「わからない位ね」
「だからわかるわ」
「私が今言ってることが」
「ええ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「そうでしょ、何時でも何処でもね」
「いい人がいれば」
「悪い奴もいるのよ」 
 その両方がというのだ。
「ナチス=ドイツの頃だって」
「ヒトラーのね」
「ナチスに反対する人いたし」
「何も言わなくても」
「それでもね」
 言えば粛清される、それでだ。
「そうした人もいて密かにね」
「抵抗していたの」
「ユダヤ人を逃がしたり匿ってね」
 そうしたことを行ってというのだ。
「命懸けでね」
「凄い勇気がいったわね」
「そんな人もいたしね」
「何時でも何処でも」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「いい人もいるし」
「悪い奴もいて」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「日本だってそうだから」
「日本人がいい人ばかりっていうのは」
「ちょっとね」
 どうにもと言うのだった。 
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