金木犀の許嫁

「もうね」
「そう、だからね」
　佐京もそれでと答えた。
「論外だよ」
「絶対にやったら駄目よね」
「泥棒になる位なら普通に働くよ」
「真面目にね」
「まして忍術は心身を鍛えるものでサバイバルとかも出来るから」
　そうしたものだからだというのだ。
「やっぱりね」
「普通に色々なお仕事出来るわね」
「だからね」
「泥棒なんてしないわね」
「けれどです」
　白華はここで顔を曇らせて話した。
「忍者は泥棒になろうと思えば」
「簡単になれるわね」
「実際に忍者から泥棒になった人達もいます」
「石川五右衛門さんとか」
「風魔小太郎さんもです」
　こういった者達がというのだ。
「泥棒になっています」
「そうだったわね」
「本当にです」
　実際にとだ、白華はさらに話した。
「簡単にです」
「忍者は泥棒になれるわね」
「俊敏で手先が器用で色々な道具を持っていて」
　そうであってというのです。
「逃げることも隠れることも得意なので」
「だからですね」
「本当にです」
「忍者は泥棒に簡単になれるわね」
「悪用しようと思えば」
　泥棒即ち窃盗にというのだ。
「簡単に出来ます」
「そうなのね」
「ですから気を付けないといけません」
「そうよね」
「サバイバルも出来て」
　そうであってというのだ。
「色々な肉体労働も出来ますので」
「そうしたお仕事をすればいいのね」
「忍者は。尚真田家と十勇士のお家は維新以降代々八条グループで奉職させて頂いています」
「だから八条グループの中で働けるわね」
「真っ当なお仕事です。ただ探偵になる方もおられます」
「あっ、八条グループって探偵もやってるわね」
　真昼はこのことを思い出した。
「それで十勇士のお家でもね」
「そちらに行かれる方もおられます」
「そうよね」
「はい、ただ」
「ただ？」
「探偵業は推理ものとは違いまして」
　白華は真昼にその仕事のことを話した。
「地味なものです」
「シャーロック＝ホームズさんとは違ってね」
「浮気調査や迷い猫探しがです」
　そうしたものがというのだ。
「お仕事のメインです」
「そうなのよね」
「人探しもしますし」
「実際は地味よね」
「はい」
　その通りだというのだ。
「現実は」
「そうよね」
「ですから」
　それでというのだ。