金木犀の許嫁
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第四十九話 忍者の水泳その八
「やっぱりね」
「私だってね」
「夜空さん犬も猫も好きかな」
「どちらもね。同じ位ね」
犬も猫もというのだ。
「好きよ」
「だったらね、若しまたうちが犬を家族に迎えても」
かつての様にというのだ。
「その時はね」
「ええ、是非ね」
笑顔での返事だった。
「仲よくしましょう」
「その犬もね、ただね」
「ただ?」
「やっぱり忍犬は」
それはというと。
「無理だから」
「なれないわね」
「そうだよ」
実際にというのだ。
「警察犬や軍用犬とは違って」
「仕込むことが難しいから」
「忍術はね、それにね」
「それに?」
「犬の習性がね」
これがというのだ。
「あるから」
「ああ、それでなの」
「すぐにおトイレするよね」
「そうよね」
「そのこともあるし」
「難しいのね」
「それで猫もね」
この生きものもというのだ。
「やっぱりね」
「忍術仕込めないのね」
「そうだよ」
実際にというのだ。
「それは無理だよ」
「そうなのね」
「人間しかね」
忍術はというのだ。
「無理なんだ」
「だから普通のワンちゃんね」
「うん、ただそれでいいんだ」
「忍術がなくても」
「そう、それでもね」
しかしというのだ。
「吠えてくれるし」
「それだけでも違うわね」
「忍者が来ても」
それでもというのだ。
「吠えられるから」
「それじゃあ忍者にとって犬は天敵ね」
「そうだよ、だから犬に気付かれない様にすることも」
「大事ね」
「吠えられるから」
だからだというのだ。
「本当にね」
「犬は忍者の天敵で」
「気付かれない様にすることね」
「そうだよ。そこまで技量を高めることが」
忍術のそれをというのだ。
「大事なんだ」
「そうなのね」
「今は人の家に忍び込まないけれどね」
「忍者でもね」
「それこそスパイにならないと」
そうでなければというのだ。
「しないから」
「スパイは別ね」
「後は泥棒だけれど」
「犯罪よ」
夜空は一言で答えた。
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