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取引先も相性

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第一章

                取引先も相性
 その取引先についてだ、梨田淳一は上司の真田昭雄眼鏡をかけた長方形の真面目そうな顔立ちの中肉中背で黒髪をオールバックにした彼に言われた。
「君は井本工業に行ってくれるか」
「鈴木工業でなく」
「ああ、そうしてくれるか」
 真田は梨田に言った、梨田は一七六程の背で黒髪を左で分けている。痩せていて穏やかな整った顔立ちである。
「そこでなく」
「そうですか」
「鈴木工業には有田君が言ってもらうよ」
「俺ですか」
 やや太った身体と顔立ちで細い目の男が応えた、黒髪を右で分けていて背は梨田と同じ位である。実は二人は同じ年齢で同期入社である。
「行くのは」
「うん、頼めるか」
「わかりました」
 有田はそれならと応えた。
「行ってきます」
「そして君は井本工業だ」
 真田は梨田にあらためて告げた。
『頼むな」
「わかりました」
 こう話してだった。
 梨田と有田はそれぞれの取引先に行った、取引はどちらも成功したが。 
 それでもだ、二人は仕事が終わってから居酒屋で話した。
「課長何で俺を井本工業に行かせたんだろうな」
「俺は鈴木工業でな」
「どうしてだろうな」
「それがわからないな」
 二人でビールと焼き鳥を口にしつつ話した。 
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