急成長
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第一章
急成長
武藤薫子の妹の泉は小柄である、その為学校でこう言われていた。
「コロボックルって言われるのよ」
「ここ北海道だしね」
姉は妹に応えた、二人共黒髪を長くしていて大きな切れ長の黒目がちの二重の目であり唇は赤い。姉は中三で妹は小一である。
「だからね」
「そうなのよね」
「けれど小さくてもね」
普通位の背の姉は言った。
「困らないし」
「嫌に思わなくていいの」
「そうでしょ。それ言ったらお姉ちゃん胸ないわよ」
自分のそれを見て話した。
「だからね」
「私が小さくてもなの」
「いいでしょ、気にしないの」
「お姉ちゃんがそう言うなら」
妹は頷いた、そうしてだった。
背のことは気にしなくなった、やがて薫子は大学からは福岡で暮らす様になり就職もそちらでとなった。
そしてだ、中学生になった妹がだった。
「こっちに来るの」
「そうなの、旅行でね」
姉にスマートフォンで言ってきた。
「一人旅だけれど」
「お父さんとお母さんに言われたの」
「泊るところはね」
それはというのだ。
「お姉ちゃんそっちにいるから」
「あたしの部屋に泊れって言われたの」
「そうなの。いい?」
「いいわよ」
一も二もない返事だった。
「姉妹だしね」
「有り難う、それじゃあね」
「ええ、迎えに行くわね」
「飛行機で行くから」
「じゃあ空港でね」
妹に笑顔で答えた、そして母にそのことを伝えるとこう言われた。
「泉も大きくなったのよ」
「そりゃ成長するでしょ」
薫子はそれを当然と返した。
「ずっと子供じゃないから」
「ええ、だからね」
「大きくなったことをなのね」
「覚えておいてね」
「わかったわ」
母に笑顔で応えた、だがそれは年齢に応じてで薫子は泉はやはりコロボックルだと思っていた。しかしだった。
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