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一浪しても

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第二章

「八条電機に入ったよ」
「ああ、あそこだね」
「世界的な企業だね」
「八条グループの系列企業でね」
 八条スーパーに就職している本条はこう応えた、この企業も八条グループの系列企業であり彼もわかっているのだ。
「それでね」
「グループは世界有数の企業グループで」
「そこの企業だからね」
「そうなるな、いや実は一浪って言ったら面接であからさまに馬鹿にした会社もあったんだ」
「どの会社?」
「ヨネスケ電気だよ」
 この企業だというのだ。
「面接の人達がもうな」
「あからさまになんだ」
「馬鹿にしてきたけれどな」
「その会社今大揉めじゃない」
「ああ、不祥事がどんどん出てな」
「潰れそうだね」
「採用されなくてよかったよ」
 高橋は心から思って述べた。
「本当に」
「全くだね、一郎なんて普通だし」
「それで偏見を持つ方がか」
「おかしいよ」
 本条は高橋に話した、居酒屋で一緒に飲みつつ話している。食べ飲み放題で二人で向かい合って飲んで食べている。
「もうね」
「それがわかったよ」
「断った会社の今を見て」
「本当にな、やっぱり一浪がもないじゃないな」
「その人がどうかだよ」
「そうだな、それがわかったからな」 
 だからだというのだ。
「一浪してよかったよ」
「そう思うね、今は」
「本当にな、じゃあ就職しても」
「頑張るね」
「そうするよ」
 こう言って実際にだった。
 高橋は大学を卒業して就職すると真面目に働き優秀な社員として評判になった。そして彼を一浪だからと採用しなかった会社は無事倒産した。高橋はその話を聞いてやはり真面目に働いている本条とやはりそうなったかと笑って話した。


一浪しても   完


                     2025・1・15 
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