星河の覇皇

「即ち理性や法律によって制御が利く」
「そうした力だな」
「それが軍隊の用いる力です」
「そして暴力はな」
「その辺りのならず者が使う力です」
　八条は暴力についてはこう言った、その言葉にはこれ以上はないまでの否定それに軽蔑が存在していた。
「まさに」
「その通りだな、そこには理性も鳴ければな」
「法律もありません、感情のままです」
「振るう力だ」
「自分より腕力やなく地位の低い相手を虐げる」
　そうしたというのだ。
「力です」
「実に野蛮だな」
「こうした力を使いますと」
　それこそというのだ。
「真の意味で、です」
「野蛮になるな」
「はい、ですから軍隊はです」
「暴力を用いないな」
「武力です」
　理性や法律に制御されたこの力だというのだ。
「用いるのは」
「だから戦争でもだな」
「ルールはあります」
「戦争は暴力と暴力の衝突ではない」
「武力と武力の衝突です」
「やはりルールはあるな」
「はい、その為に」
「君も一般市民への攻撃は許さないな」
「まして連合軍はどういった軍隊か」
　この国の軍隊はというのだ。
「一体」
「誰もが言うな」
「市民の軍です」
「そうだな」
「ですから」
　このこともあってというのだ。
「何があってもです」
「一般市民を攻撃してはならないな」
「市民の軍隊は自分達を守る軍隊です」
「他ならぬ連合市民をな」
「侵略の軍隊でもありません」
　強い否定の言葉で言い切った。
「ならば」
「敵国の市民であってもな」
「同じです」
「そうだな」
「ですから」
「エウロパ市民でもだな」
「攻撃対象にせず」
　そしてというのだ。
「そのうえで、です」
「ことを進めるか」
「そうしていきます」
「では煽動もだな」
「デロのですね」
「それもしないな」
「そうした話は出ていません」
　情報部でもというのだ。
「諜報活動は考えていても」
「それでもだな」
「テロはこの様に私が最初にです」
「禁じたか」
「はい、そしてそうした工作は」
　全くというのだ。
「出ていません」
「そうなのだな」
「エウロパにはあらゆる工作で苦しめられましたが」
「長きに渡ってな」
「彼等も一般市民は狙いませんでしたし」
　そうしたテロは行わなかったというのだ。