金木犀の許嫁
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十八話 プールへの誘いその十一
「その人は絶対にね」
「まともな人になっていないわね」
「どんなお仕事か知らないけれど」
それでもというのだ。
「表の堂々と言えるお仕事じゃないね」
「ヤクザ屋さんかね」
「半グレとか」
「そんな風ね」
「文句ばかりで悪いことしか言わない人は」
「そうなるのね」
「そう俺に言ったんだ」
夜空に顔を向けて話した。
「母さんは。そして入れ墨を入れる様な人になるなって言ったよ」
「真っ当な人になりなさいってことね」
「そうね」
「そうよね、そんなの入れたら駄目よね」
「実際日本人のプロ野球選手でもいたね」
「入れ墨入れた人が」
佐京はすぐに言った。
「自称番長の」
「あの人ね」
「あの人見たらわかるよね」
「見事な転落人生ね」
「お金あっても」
それでもというのだ。
「ああなったらね」
「人間おしまいよね」
「そのお金もなくなったそうだから」
「自分で何処行ったとか言ったらしいわね」
「あれはないよ」
佐京はまた言い切った。
「あそこまで落ちぶれるのはね」
「人間としての転落よね」
「あの人見て余計に思ったよ」
「入れ墨を入れる様な人になるなって」
「真っ当に生きるのが一番いいってね」
「制服だってそうね」
ここで夜空はこう言った。
「不良の人のそうした服より自衛官の人達の制服の方がね」
「恰好いいよね」
「そうよね」
「俺海自さんの夏の詰襟が好きなんだ」
「あの真っ白の」
「下士官や幹部の人達が着ているね」
そうした人達がというのだ。
「礼装がね」
「あれ恰好いいわね」
「うちの学校の制服の一つにもあるよね」
「ええ、あるわ」
夜空はその通りだと答えた。
「物凄く忠実に再現してるわね」
「白ランだね」
「そうね、ただ着てる人殆どいないわね」
「汚れが目立つからね」
だからだというのだ。
「真っ白だから」
「そのことよね」
まさにとだ、夜空も答えた。
「白い服はね」
「汚れが目立つから。特にねカレーとかお醤油は」
「白い服に付いたら目立つから」
「だからね」
それでというのだ。
「困るのよね」
「お洗濯する方は」
「あの白い詰襟も」
この服もというのだ。
「同じだから」
「うちの学校で着る人少ないね」
「ええ、白い制服女の子にもあるけれど」
「白いセーラー服とか」
「ブレザーもスカートもね」
そちらでもというのだ。
ページ上へ戻る