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ハッピークローバー

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第百五十四話 仮面その十一

「好きじゃないしね」
「だから問題なしか」
「そうなの。下着は普通のデザインで」 
 今度はグレーのそれ等を思い浮かべて話した。
「色がね」
「大事か」
「そう思うわ、ただ黒や紫はね」
 そうした色の下着はというと。
「抵抗あるわ」
「そうした色の下着はな」
「どうもね」
「そうか、しかしな」
「しかし?」
「そんな話俺にするなよ」
 鳴海はかな恵に顔を顰めさせて言った。
「幾ら何でもあからさま過ぎるだろ」
「そう?」
「そうだよ、下着の色とかな」
「いや、一緒に洗うからね」
 かな恵はあっさりとした口調で応えた。
「だからね」
「言うのかよ」
「そうだけれど」
「家族みたいな感じだな」
「実際お家ぐるみのお付き合いでしょ」
 やはり返事はあっさりしたものだった。
「だったらね」
「いいのかよ」
「そうじゃない?鳴海っち子供の頃私のお家で泊るなんてしょっちゅうだったし」
「かな恵だって俺の家にな」
「だったらね」
 それならというのだ。
「もうね」
「いいのね」
「そうだろ」
 こう言うのだった。
「別にね」
「そんなものかよ」
「そうでしょ」
「手をつなぐ位の付き合いでもか」
「というかもう同じお布団で何度も一緒に寝てるし」
「子供の頃の話だろ」
「けれどね」
 それでもというのだ。
「事実だし」
「家族みたいなものか」
「だったら下着の色位言ってもね」
「よくないだろ、俺も男だしな」
 それでというのだ。
「そうしたことはな」
「言わないことね」
「そうだよ」
 こう言うのだった。
「もうな」
「下着の色は」
「言うなよ」
「ううん、付き合ってるし」
 かな恵はだからだと返した。
「いいんじゃない?」
「だから赤裸々過ぎるだろ」
「付き合っていても」
「そうだよ、キスだってしてないのにな」
「それはね」
「成人式迎えてな」
 そうしてというのだ。
「それからだよ」
「大学も卒業して」
「ああ」
 まさにというのだ、鳴海はこうしたことについては極めて真面目な考えでありかな恵もそれならというのだ。
「それからだろ」
「じゃあそれまでは」
「そんなな」
 それこそというのだ。 
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