ハッピークローバー
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第百五十四話 仮面その七
「言ってな」
「そうよでしょ、うちもそうだし」
「何度も泥だらけになったな」
子供の頃はとだ、鳴海は笑って話した。だが彼はすぐにこうも思ってそのうえでかな恵に対して話した。
「今もな」
「ラグビー部だからね」
「ラグビーやってるとな」
それならというのだ。
「もうな」
「すぐに泥だらけになるわね」
「ああ」
実際にというのだ。
「土かな」
「そうよね」
「けれどな」
「おばさん怒らないわね」
「泥だらけのユニフォーム出してもな」
「それがラグビーだから」
「怪我するなっていつも言われてるよ」
カレーを食べつつ話した。
「そっちはな、けれどな」
「汚れてもね」
「全くな」
「言われないわね」
「怒られないよ」
「うちも鳴海っちのところも」
「両方だな」
鳴海は笑顔で応えた。
「それなら」
「そうよね」
「それ有り難いな」
「そうしたことで服汚れても怒らないお家はね」
「汚れ気にしてたら遊べないしな」
「ラグビーなんてとてもね」
かな恵はまさにと言った。
「だからね」
「ああ、本当にな」
「そこはね」
「いい親だよ」
「私達のお母さんはね」
「うちの父ちゃんもな」
鳴海は自分の父親の話もした。
「そうだしな」
「おじさん細かいこと言わないわよね」
「全くな」
「昔からそうよね」
「坂本龍馬さんが好きでな」
幕末の志士のこの人物がというのだ。
「それでな」
「細かいこと言わないのね」
「龍馬さんはでっかい人だったって言ってな」
そうしてというのだ。
「それでだよ」
「そうしたこと言わないのね」
「身体も大きかったらしいけどな」
一説には一八〇近く低いという説でも一七二あった、当時の日本人の成人男性の平均身長が一五五程であったことを考えると相当である。
「心もな」
「大きかったから」
「その龍馬さんみたいにな」
「細かいこと言わないのね」
「ああ、それでな」
鳴海はさらに話した。
「親父堀内恒夫嫌いなんだよ」
「巨人にいた」
「何でも親父が言うにはな」
鳴海はさらに話した。
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