紋章持ちの転生者は世界最強
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第2話 異世界召喚
前書き
書籍を見比べながら書いていたらかなり長くなってしまいました。
いつも通りの時間に学校に向かう道を歩きながら前世のことを思い出す。前世ではあまり真面目に授業を受けずに、テストする直前で慌てて勉強をしていたことがある。なので、今世では真面目に授業を受けることで、何とかクラスのトップ5に入るくらいには成績をキープしている。
そして前世のことを考えながら歩いていると、自分が配属されている教室の前にいたので教室の扉を開けて中に入る。
「光牙君!おはよう!」
教室に入ると同時に俺のもとに近寄ってくる腰まで届く長い黒髪をストレートにしたスタイル抜群の女子生徒が1人いた。
この女子生徒の名前は神埼詩織。この学校の中でも三人の美少女たちの総称である三大女神に数えられる学校屈指の美少女である。ちなみに詩織以外の三大女神もクラスメイトなので他のクラスの生徒どころか後輩、先輩含めた学校中の生徒たちから羨ましがられている。
本来であれば詩織のような高嶺の花と俺にはまったく接点が無い上に、俺から声を掛けて面倒なヤツ等に絡まれても潰すのが面倒なだけなので、話し掛けることはしなかった。
だが……俺と詩織にはとある趣味が合うという共通点がある。
それは……
「それじゃあ、早速勝負だよ!」
そう言って詩織は制服のポケットからデッキケースを取り出した。そのカードゲームというのは遊戯王。前世の頃から愛着を持っていたカードゲームだ。
詩織と同じクラスになってから、休み時間に同じクラスの友達と一緒に遊戯王のカードデッキの整理をしていた時に話しかけられて、俺と友人と同じく詩織も遊戯王のカードゲームが好きだという事実を知った。
それから、遊戯王のカードゲームで遊べる友人が増えた。だが詩織が俺に対して好意を寄せていることなんてあり得ない。三大女神の名に相応しく、詩織が告白された回数は数知れないのだが、そのすべてを『憧れている人がいる』という理由ですべて断っている。
なんでも昔、ピンチな時に助けて貰った黒い竜騎士様らしい。一目を見た瞬間にビビビッと来て、この人しかいないと運命を感じたらしい。黒い竜騎士ってファンタジーゲームのジョブの竜騎士なのか、全身黒ずくめだとしたら……キリト?いや、それはSAOの黒の剣士か……。
まあ、そもそも俺には関係のないことだろう。さて、詩織の運命の人からカードゲームに集中するか。
「効果モンスター3体を素材にしてリンク召喚、ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルードを召喚。墓地にリンクモンスター、儀式モンスター、シンクロモンスター、融合モンスター、エクシーズモンスターのエクストラモンスターが存在するから、ダークフルードのカウンター4つを乗せて、パワー3000にパワー10000を加算して、パワー13000のダークフルードに装備魔法カード、メテオストライクを装備して詩織の守備モンスターに攻撃」
「あぅぅ~、また負けたぁ……」
ちなみにこの世界でファイアウォール・ドラゴン・ダークフルードを手に入れるまでの戦績は五分五分だったのが、この切り札にメテオストライクを手にしてからは7:3の割合いで勝ち越している。
ちなみに俺のカードゲームの腕前は前世の大会込みで10回出場して、2回は3回戦まで出場できる腕前だ。丁度バトルが終わった時、教室の扉が開いた。
そして教室に入ってきたのは眠そうな表情を浮かべた顔立ちは平凡な顔立ちの男子生徒。その男子生徒の名前は南雲ハジメだ。
ハジメの座右の銘は『趣味の合間に人生を』を掲げる生粋のオタクだ。俺は友達で、詩織意外で遊戯王のカードゲームのバトルをすることができる貴重な人物だ。
俺は広げていたカードを集めてデッキケースにカードを収納してから、ハジメの下に向かうと悪党にはなりきれない小物感が溢れている悪党の小悪党たちがハジメに絡んでいた。
「おす、ハジメ。おはようさん」
「あ、光牙君。うん、おはよう」
俺がハジメに挨拶をすると、ハジメにウザ絡みしていた小悪党どもが俺を見た時に軽く舌打ちをしてきた。俺としては手を出してくれたら、正当防衛でボコボコにした上で校門の目の前にある大木に全裸にした上に『私は全裸の犯罪者です』というプレートを首に掛けて放置することができるのに残念だ。
「光牙君、なにかひどいことを考えているでしょ」
「さ~て、なんのことやら」
俺が小悪党どもにしようとしていたことをハジメに看破されてしまった。ハジメに思考看破のスキルでもあるのだろうか?
ちなみにこの生粋のオタクであるハジメには恋人がいる。
「ハジメくん、神高くん!2人共おはよう!ハジメくんは今日もギリギリだったね!もっと早く来ようよ!」
「あ、あはは……少し母さんの手伝ってたら、少し寝過ごしちゃってね……」
それが今しがた俺とハジメに挨拶した女子生徒である。この少女の名前は白崎香織。学校の有名な人の中でも最も人気な三大女神の1人に数えられている。男女問わずに絶大な人気を誇る美少女だ。
腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。
微笑みの絶えない白崎は、非常に面倒見がよく責任感も強いために学年を問わずによく頼られている。それを嫌な顔1つせずに真摯に受け止めるのだから高校生とは思えない懐の深さだ。
そしてハジメと白崎が恋人同士なのことを知っているのは、当事者である二人を除けば俺と詩織の2人と白崎の親友だけだ。
ハジメのやっかみが酷くなりそうなので仲の良い友人を除いてクラスメイトたちに内密にすることを提案した。
「南雲君、神高君。二人共おはよう。南雲君は毎日大変そうね」
俺たちに挨拶をしてきた黒髪の美少女の名前は八重樫雫。白崎の親友だ。長い黒髪をポニーテールがトレードマークである。切れ長の瞳は鋭く、しかしその奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりもカッコいいという印象を与える。
そして八重樫は百七十二センチという女子にしては高い身長と引き締まった体、凛とした雰囲気は侍を彷彿とさせる。事実、八重樫の実家は八重樫流という剣道場を経営しており、八重樫自身、小学生の頃から剣道の大会で負けなしという実力者である。
現代に現れた美少女剣士として雑誌の取材を受けることもしばしばあり、熱狂的なファンがいるらしい。後輩の女子生徒から熱を孕んだ瞳で“お姉さま”と慕われて、八重樫が頬を引き攣らせている光景がよく目撃されている。
「香織、また彼らの世話を焼いているのかい?まったく、本当に香織は優しいな」
白崎にウザく感じる感じで声を掛けたのが天之河光輝。如何にも勇者っぽいキラキラネームぽい名前のアイツは、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能といったアニメや漫画の世界にしか存在しないはずの完璧超人だ。
サラサラの茶髪と優しげな瞳、百八十センチ近い高身長に細身ながら引き締まった体。誰にも優しく、正義感も強く(かなり思い込みが激しい)。小学生の頃から八重樫道場に通っている門下生で、八重樫と同じく全国クラスの猛者らしい。
八重樫とは幼馴染である。ダース単位で惚れられている女子生徒がいるそうだが、いつも共にいる八重樫や白崎に気後れして告白に至って女子はそれなりの人数いるらしい。
それでも月二回以上は学校に関係なく告白を受けているというのだから筋金入りのイケメン野郎だ。
「まったくだぜ。そんなやる気のないヤツ等には何を言っても無駄だと思うがなぁ」
最後に投げやり気味な発言をした男子生徒の名前は坂上龍太郎。天之河の親友らしい。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、百九十センチの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かいことは気にしない脳筋タイプである。
龍太郎は努力とか熱血とか根性とかそういうのが大好きな人間なので、ハジメのような学校に来ても寝てばかりの不真面目な人間は嫌いなタイプらしい。現に今も、ハジメのことを一瞥した後はフンッと鼻で笑い興味ないとばかりに無視している。
「おはよう。八重樫さん、天之河くん、坂上くん。あはは、まあ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」
八重樫たちに挨拶を返し、苦笑いを浮かべるハジメに対して、クラスメイトたちによる嫉妬心からくる殺意が籠った視線を向けられていた。
「それが分かっているなら直すべきじゃないか?何時までも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だっていつまでも君に構ってばかりはいられないんだから」
天之河の心の籠ってない言葉に呆れを通り越して笑いそうなるのを耐えていると、我らがクラスのマドンナである白崎の天然が炸裂する。
「え?光輝くんは何を言ってるの?私は、私が南雲くんや光牙くんと話したいから話してるだけだよ?」
「え?……あ、ああ、本当に香織は優しいな」
どうやら天之河の中で白崎が優しいから俺とハジメに構うと自己完結したらしい。
「南雲君、神高君……ごめんなさいね。2人とも悪気はないんだけど……」
八重樫が俺とハジメに謝罪をする。俺とハジメは特に気にしてないことを俺はハンドサインで伝え、ハジメは肩を竦めて返事する。
授業開始を報せるチャイムが鳴ってから暫くしてから、先生が教室に入ってくるなりハジメはパタリと机に突っ伏して眠ってしまった。
◯●◯
昼休みが始まったことを報せるチャイムが鳴り4時限目の授業を担当していた畑山愛子先生がクラスメイトたち数人と談笑していた。
そしてもぞもぞとハジメが起き上がって教室の時計を見てから10秒チャージでお馴染みの飲料ゼリーをじゅるるると飲んでいた。
俺は鞄から弁当箱を取り出して中を開けるとハンバーグ、エビフライ、卵焼き、更にはオムライスという俺の好物しか入ってなかった。俺は母親の顔を思い浮かべるも、作ってくれていることに感謝しても、文句などは特にない。
そして弁当を食べようとしたら、白崎が俺とハジメのもとに近寄ってきた。
「ハジメくん、お昼一緒にどうかな?あれ?神高くん、珍しいね、教室にいるの。神高くんさえ良ければお昼、私たちと一緒にどうかな?」
「あ~、白崎さん、お昼誘ってくれてありがとうね。でも僕はもうお昼を食べ終わったから、天之河君たちとお昼食べてきたら?」
俺は白崎の言葉に違和感を覚えた。私たち?白崎とハジメがお昼を共にするのは決定事項ですか?白崎よ、ハジメとの関係……隠す気あるのか?
そして、そんな俺たちのもとに天之河と坂上の二人がこちらにやって来た。
「香織。こっちで一緒にお昼を食べよう。南雲はまだ寝たりないみたいだ。せっかくの香織の美味しい手料理をそんな奴らが食べるなんて俺が許さないよ?」
天之河が爽やかに笑みを浮かべながら気障なセリフを吐く。その天之河のセリフにキョトンっと首を傾げる白崎。少し天然混じりの鈍感な白崎には、天之河のイケメンスマイルや気障なセリフでは靡かないようだ。
「え?なんで光輝くんの許可がいるの?」
白崎が素で返したことでこの状況を静観していた八重樫とお昼を食べ終えてこちらに近寄ってきた詩織が「「ブフッ」」と二人揃って吹き出していた。天之河は白崎に対して困ったように笑みを浮かべながらあれこれ説得を試みているようだ。
長年異界侵食を経験していた俺には可笑しな気配が漂ってきた。
天之河の足下に白銀色に光り輝く円環と幾何学模様が現れたことで、教室にいるクラスメイトたちが全員……凍りついた。
俺はひとまず近くにいたハジメと詩織の2人を近くに引き寄せる。そして、その直後に幾何学模様こと魔法陣が教室の端まで拡大していった。
その状況に危険を感じて畑山先生が咄嗟に「皆!教室から出て!」と叫んだ瞬間に魔法陣から光りが放たれて炸裂された。
ーー……マスター……早く目を覚まして……ね……ーー
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