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八条学園騒動記

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第七百八十一話 もてるからこそその十一

「もう朝から晩までね」
「遊郭通いか」
「だからお金に困らなくて病気にもならないなら」
「浮世ノ介さんみたいな人からすれば天国だな」
「そうだったと思うよ」
 まさにというのだ。
「文字通りのね」
「そうだよな」
「当時からすれば長生きで」
 浮世ノ介はというのだ。
「それで島に行ったけれど絶対にまだね」
「生きるよな」
「健康なのは間違いないし」
「四千人以上と遊ぶなんてした位だしな」
「しかも性格的にもね」
 そちらを見てもというのだ。
「長生きするタイプだし」
「絶対にそうだな」
「だからね」 
「島に渡ってからもか」
「結構な間ね」
「遊んでいたか」
「そうだったと思うよ」
 こうフックに話した。
「それで女の人だけじゃなくて」
「美少年にか」
「両方でね」
「そして死ぬんだな」
「もう死んだ時は」
 作中で書かれなかったその場面はというと。
「満足しきった」
「大往生か」
「そうだったと思うよ」
「六十まで遊んでな」
「それからも遊び尽くすから」
「それだとな」
 フックもまさにと言った。
「悔いはないだろうな」
「そうだよね」
「そう思うとな」
 フックは腕を組み真剣に考える顔になって述べた、そのうえでベンに対してさらに言ったのであった。
「拳王さんと同じだな」
「我が生涯に一片の悔いなしだね」
「そうした人生だな」
「そこまでしたら」
 ベンもそれこそと応えた。
「好色のことでなくてもね」
「悔いはないな」
「中には北斎さんみたいな人もいるけれど」 
 葛飾北斎、江戸時代後期の日本の画家である。
「九十になってまだな」
「当時で九十か」
「仙人さんみたいな長生きだったけれど」
 そこまで生きたがというのだ。
「あと十年でね」
「百歳だな」
「本物の画家になれたってね」
「北斎さんは言ったか」
「それでお亡くなりになったんだ」
「九十は今じゃまだな」
「平均寿命じゃなくてね」
 連合の平均寿命は男女共に百歳に達している。
「まだかなって感じだけれど」
「当時の九十歳はか」
「日本でなくてもね」
「かなり長生きか」
「そう、それでね」
 そうであるからだというのだ。 
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