故郷は大空にあり
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第十六話 いよいよ本番
前書き
あけましておめでとうございます
ハッピーニューイヤー!
祝日とかあんまり祝えなくてごめんなさいね。
今年のエピソードはいろいろ祝ってくつもりです。
投稿ペースも上げたいような…
とりあえず、ハッピーニューイヤー!
訓練が数日がたち…エンブラエル170は、ひとつしかないボーディングブリッジに接岸して、
メンバーの搭乗を行っている。
本番でのパイロットは、訓練と同じようにF/A18と提督。
貨物の積み込みとメンバーの搭乗が終わると、ボーディングブリッジを妖精が操作し、
離れていった。
「APU、作動確認」
「チェック…作動」
「バッテリーを起動」
「起動」
APUを起動させ、それを電源にバッテリーを起動する。
周波数をグランド管制に切り替え、要請する。
「こちらSI002、プッシュバック許可を求みます。」
「了解。19滑走路へのプッシュバックを許可します。
機首を北に向けてください。」
「了解。SI002、プッシュバック、機種を北に向けます。」
妖精が操作するプッシュバックカーにプッシュバックしてもらい、
機首を北に向ける。第1エンジンを点火、第2エンジンを点火。
妖精が操作するプッシュバックカーが離れると、スロットルを
調整し、タキシングの準備をする。
「こちらSI002、タキシング許可求みます」
「了解しましたSI002、タキシングを許可します」
「SI002はタキシングします。」
スロットルレバーを押し、推力を上げ、30kt程度の速度の
推力で停止させた。今まで使っていた格納庫や鎮守府を横目に通り過ぎていく。
滑走路まであと少しのところで、タワーハンドオフを行う。
「SI002、タワー管制にハンドオフしてください」
「了解、ハンドオフします。」
周波数を切り替え、タワー管制に
ハントオフする。
「こちらSI002、周波数を合わせました。」
離陸準備をし、管制塔に伝える。
「SI002、離陸準備完了しました」
「了解した。滑走路内で待機せよ」
「SI002了解。」
南に出発するので、眩しい陽射しがコックピットの中に差し込む。
今のうちにテイクオフチェックリストをしてしまう。
「提督。」
「なぁにぃ?」
「これが最後になるかもね。」
「分かってやってるよ。みんなはね」
「だからこそついてきた」
「うん。」
「SI002、ランウェイクリア、離陸を許可します。グットラック」
「SI002、離陸許可を受け取りました。頑張ります」
スロットルレバーを押し込み、推力をどんどん上げていく。
一定の位置で止める。
「ビフォアテイクオフチェックリスト」
「コンプリート」
「スタビラーイ?」
「スタビラーイ」
「OK、行こう、セッツテイクオフスラスト!」
ギアブレーキを解除、スラストレバーを90%程度まで上げ、
加速を始める。この前とは違い、滑らかな加速だ。
「V1!」
「今回も異常なし!離陸継続、ローテート!」
「ローテート!」
操縦桿を引き上げて、機体を前部から持ち上げる。
頼もしい上昇。ギアが全て陸から離れる。
「ギアアップ」
「ぎゃーらっぷ」
前輪・後輪共に格納される。
「ポジティブクライム」
「SI002、ディパーチャー管制にコンタクトしてください。」
「了解、コンタクトします。さようなら」
「さようなら」
再び周波数を切り替え、ディパーチャー管制にコンタクトする。
タワー管制に別れを告げ、ディパーチャー管制に伝える。
「こちらSI002、ディパーチャー管制にコンタクトしました。現在、5000フィートまで上昇中」
「了解。」
─────────────────────
「クルージング体制に入ったよ。提督」
「了解。自動操縦も機能しているみたいだし」
「私はみんなのことを見てくるよ、ユーハブコントロール」
「了解。アイハブコントロール」
座席のシートベルトを外して、コックピットドアを開ける。
通路に出て、みんなに聞いてみる。
「大丈夫そう?」
「大丈夫だよ?」
シートベルトサインが消えているので、通路に立っていたyak-131が
返事をした。
「なにか異常とかは無い?」
「ないです。F/A18さん。」
「そっか…ありがとう」
「お疲れ様です。これを」
yak-131がコーヒーを淹れると、私の分も渡してきた。
淹れたてで、とても暖かいコーヒーだ。
「Так держать」
「もちろん」
ロシア語で、がんばれと応援をしてもらい、コーヒー
を飲んだ。少し甘く、砂糖が入っている。
私はコーヒーを飲み干し、コックピットに戻ろうとした。
その時だった。
「うわっ!?」
機体が急に左に傾き、私とyak-131は左側のドアまで少し飛ばされた。
私はyak-131のことをしっかりと抱きしめて、怪我しないようにした。
少し、背中と後頭部が痛い。だが、それもすぐ治った。
「yak-131、みんなの様子見て来てくれない?私はコックピットに戻って異常を確認する。」
「F/A18さん、分かりました。!?」
「どうかした?」
「F/A18さん、後頭部の上になにか、天使の輪のような…」
「まさか…」
F/A18は、自分の舌を見てみた。やはり、ない。
舌に会った輪のようなものが突然、後頭部に移動したのだ。
「F/A18さん、見てください」
いつの間にか、yak-131は携帯を取り出して、
写真を撮り、見せてもらった。
かつて舌にあった輪と同じ形のものだ。
髪と同じピンクの色をしている。
「うっ…いまはこんなことをしている時間じゃない。コックピットに行かないと」
「大丈夫なんですか!?」
「大丈夫だよ。」
立ち上がり、ゆっくりコックピットに近づいて行った。
コックピットドアを開けて、yak-131にこう言った。
「何かあった時は、みんなを頼むよ。」
「もちろんです」
F/A18はコックピットドアを閉め、提督に聞く。
「現状は?」
「右エルロンがおそらく故障。右1部のエルロンが急に左旋回で停止している。って、F/A18、後頭部のそれは」
「いまはそれどころじゃないよ、ふむ…この状態で着陸はキツイだろうね」
「色々な手順も試したけど…ダメみたい。」
「一つだけ、方法があるよ。」
「?」
「右エルロンのモーターへの電力を遮断させる。」
「それで治る?」
「恐らく。それしかない。」
「分かった。」
コックピットのスイッチなどを操作し、
エルロンへの電力を遮断する。
そして、電力を再び入れる。
「ん、治ったみたい。」
「そんな簡単に…」
「操縦桿も正常。」
「治ったなら…いいか!F/A18、その輪の物は?舌から移動でもしたの?」
「治ったとて、再発防止のために色々しないといけないけどね。
輪は…何故か、さっき急な傾斜で後頭部を打った後からだよ。
分からないけど…舌にあったのは無くなって、移動してでかくなったと解釈していいと思う。
今はなぜこれがこうなったのかは分からないから。」
ウィィィィィン……
「この音は」
「どうやら…そう見たいね、提督。第1エンジンの推力低下中。」
「エンジンのスラストレバーをアイドルまで下げてシャットダウンしよう。」
「了解」
スラストレバーの第1エンジンを、アイドル推力まで落とす。
「ヒューエルコントロールスイッチを下向きに」
「了解。ヒューエルコントロールスイッチ、下向きに。燃料供給遮断」
「提督、ETP確認できる?」
「OK。ETP的にはSIDに沿って飛行継続でいいと思う。」
「了解。東京アプローチ管制にコンタクトするよ。コンタクトしたら、
スコーク7700、メーデーを発信しよう。」
周波数を切り替え、東京アプローチ管制、羽田空港アプローチ管制にコンタクトする。
その後、スコーク7700、メーデーを発信する。
「スコーク77」
「スコーク77、確認、提督、メーデー出すよ。
東京アプローチ管制、こちらSI002、メーデー、メーデー、メーデー。緊急事態を宣言します。」
「SI002、レーダーで捉えました。緊急事態を宣言しますか?」
「はい、宣言します。」
東京アプローチ管制にコンタクトし、スコーク7700、メーデーを宣言する。
管制塔もそれを確認し、対応する。羽田は混んでいるので、対応が遅れることも多い。
「東京を取り返すためにわざわざ貨物ターミナルを閉鎖、通常では無理な小型機の離発着も許して貰えてるから、
こんなところで生半可に墜落するなんてごめんだよ。」
「F/A18、私も同じ気持ちだよ。」
「運用的には…北風運用かな?」
「そう見たいね。アプローチに連絡しよう。」
「東京アプローチ管制、こちらはSI002、1万2000フィートから1万フィートまで降下中です。空港情報はWを取得しています」
「SI002、滑走路34R、最終侵入経路まで誘導します。機首を方位300度、高度1万フィートまで降下してください。」
「了解、滑走路34R、最終侵入経路まで誘導。1万フィートまで降下します。」
東京アプローチ管制から滑走路と高度の指定をされたので、
その通りに機首旋回、高度を降下する。
「やっぱり。34Rでしょ?」
「そうかー…」
「しばらくやることないね。」
「そうだねぇ」
しばらくの間、管制塔にコース分岐と操縦桿を操作を行った。
「kaihoまで到達」
「SI002、滑走路34RへILS Y方式での進入を許可します。東タワー管制にコンタクトしてください」
「SI002は滑走路34Rへの進入許可を確認しました。タワー管制にコンタクトします。」
見慣れないタワー管制に周波数を切り替え、
周波数を合わせた旨を伝える。
そのまま少したち、最終進入経路に近づいたところで許可を貰う。
「こちらSI002、タワー管制、最終進入経路に接近しています。」
コックピットの窓からは正面に羽田空港の34Rが見えていた。
「SI002、東京タワー管制、風は方位360度より風速5ノットです。滑走路34Rへの着陸を許可します。」
「SI002は着陸許可を確認しました。」
手に汗が流れてくる。
緊張で、いつの間にか額には汗ができていた。
「F/A18。大丈夫だよ。落ち着いて。」
提督がそう言った。
私はその通りに、落ち着こうとしたが、落ち着けない。
滑走路23\05を過ぎたあたりで、ギアのレバーを下げる。
「ギアダウン」
「ギアダウン」
「ライト点灯?」
「チェック…点灯」
ライトが点灯し、ギアが出たことを示している。
コックピットの中には、静寂が流れていた。
そんなコックピットの中には、高度を示す音声が流れた。
【100】
【50】
【40】
【30】
【20】
【10】
ギィィ!
その瞬間、ギアが地面に設置し、ギアから白煙がたった。
スラストレバーを逆噴射の位置まで下げる。
エンジンが音を立てながら逆噴射する。
「SI002、誘導路C10を左折して東グランド管制にコンタクトしてください。」
羽田空港のグランド管制にコンタクトする。
「SI002、トーイングカーでスポット401までトーイングします。待機してください。」
「SI002、了解しました。」
トーイングカーが機体前輪に取り付き、約30knotの速度で東貨物エリア、
スポット401までトーイングしてもらった。
スポット401までトーイングすると、ポーディングブリッジが機体前方左側のドアに取り付いた。
F/A18と提督は、シートベルトを外し、席を立った。
コックピットのドアを開けると、F/A18は額の汗を拭った。
ドアを開け、貨物ターミナルにある会議室へと、鎮守府のメンバーは向かった。
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