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月の向こう側

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第二章

 こうして忍は夫それに息子と一緒にツアーに参加して月旅行に行った、それも裏側にだ。そこにある街に行くとだった。
 何とそこには空気があった、少ないが水もあり草木もあった。それに。
 大きな鳥や虫がいてだった、そのうえで。
「ようこそ」
「えっ、貴女は」
 十二単を着た長いさらりとした黒髪に極めて整った顔立ちの美女がいた、それに服を着て立っている兎達も。
「かぐや姫さんですか?」
「はい」
 美女はにこりとして答えた。
「私がかぐやです」
「嘘、ですよね」
「あっ、嘘ではないです」
 ここでツアーのガイドの初老の男が言ってきた。
「この方は紛れもなくです」
「かぐや姫さんですか」
「はい」 
 そうだというのだ。
「まさに」
「あの、役者さんではなくて」
「紛れもなくです」
 まさにというのだ。
「かぐや姫さんです」
「嘘みたいです、兎も」
 見れば人間の様に動いている、餅すらついている。
「いますし」
「実は月の裏側にはです」
 ガイドは忍に話した、見れば目は真剣そのものであり嘘を言っているとはとても考えられないものだった。
「こうした方々がおられて草木もです」
「ありますか」
「かぐや姫さん兎さん達だけでなく」
 彼等に加えてというのだ。
「それぞれの国の月にいるという方々がです」
「おられますか」
「月の裏側には」
 そうだというのだ。
「これが」
「そうなんですね」
「そのことがです」
 ガイドはさらに話した。
「人類は月の裏側に来てわかったのです」
「実際にその目で見て」
「はい、草木や大きな虫や鳥達は」
「ドリトル先生ですよね」
 夫が言って来た。
「そうですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「左様です」
「そうですね」
「そして巨人もです」 
「ドリトル先生がお会いした」
「あの人もおられます」
「そうですか」
「ですから月の作物、特にタロイモはです」
 ガイドはさらに話した。
「召し上がられないで下さい」
「身体が大きくなるからですね」
「はい」
 だからだというのだ。
「ドリトル先生みたいに五メートル以上にもなります」
「そうなったら大変ですね」
「ですから」
 そうであるからだというのだ。 
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