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忘れていた作品

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第二章

「またね」
「ええ、じゃあ読んだら感想聞かせてね」
「そうするわね」
 牛丼を食べつつそうした話をした、そして。
 由真は実際にそのジャンルから魯迅のその作品を探して読んでみた、有名な作家なので作品を読むまでには時間がかからなかった。
 だが読破してだ、唯に職場で話した。
「物凄かったわ」
「剣を打つ話は?」
「ホラーだったわ」
 唯に真顔で話した。
「もうね」
「そうだったのね」
「探したらね」
 その話をというのだ。
「魯迅の全集とちくま書房の怖い話にあったのよ」
「怖い話?」
「他には夢野久作の死後の恋とか収録されてる本で」
「うわ、夢野ね」
「意外なところでは志賀直哉の剃刀もあったわ」
「あの作家さんが怖いお話ね」
 唯はこれには以外だった。
「書いていたのね」
「そう、それでそうした作品も読んだけれど」
 それでもというのだった。
「その魯迅の作品もね」
「剣を打つ話も」
「読んだら本当に怖かったわ」
「そうだったのね」
「ええ、やっぱり魯迅はね」 
 この作家はというのだ。
「中国の問題点を批判しているとかね」
「因習とか旧態依然とした状況とか」
「そういうの抜きにして読んだら」
 そうすればというのだ。
「もう完全に」
「ホラー作家ね」
「そうよ」 
 まさにというのだ。
「あの人はね」
「普通に怖いから」
「本当にポーや夢野並にね」
「中国文学が生んだ偉大なホラー作家?」
「そうも言えると思うわ」
 読んでいて実に怖い作品が多いからだというのだ。
「実際にね」
「確かに薬とか狂人日記とか怖いし」
「その剣を打つ話もだったし」
「代表作の阿Q正伝だってね」
「魯迅はホラー作家ね」
「そうだとあらためて思ったわ」
 読んでいたが内容を忘れていた作品をあらためて読んでとだ、由真は唯に話した。そうしてその作品をホラーだと認識した。魯迅はホラー作家だとも。


忘れていた作品   完


                    2024・12・25 
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