最終回を知っているか
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第二章
「そうだったよ」
「二世じゃ死んだことになってるけれど」
「いや、平成のリメイクでやっぱり生きてたことになってるよ」
「生きていたんだ、結局」
小林はそう聞いて頷いた。
「よかったね」
「そうだね」
「それで侍ジャイアンツも」
小林は今度はこの作品の話をした。
「原作だと主人公死ぬんだよね」
「分身魔球投げ続けて」
「命削って」
「最後の一球で優勝して」
忌まわしいことに巨人が十連覇した、これだけおぞましいことは人類の歴史上創作の上でとはいえあってはならないことだった。
「マウンドで立ったまま死んでたんだよ」
「凄い結末だよね、しかし」
芝下はそれでもと言った。
「アニメじゃ生きてるんだよね」
「そうそう、最後にこれまでの魔球全部合わせた魔球投げて」
「優勝して胴上げ」
「それで終わり」
「そうだったね、何かね」
芝下はここまで話して言った。
「原作とアニメで違うね、結末が」
「そうだね、アニメの方がハッピーエンドだね」
「主人公生きて」
「どっちがいいかな」
作品の結末としてだ、小林は腕を組んで考えた。
「一体」
「自分がいいって思う方じゃないかな」
芝下はこう返した。
「それは」
「いいって思う」
「死ぬのがいいのならね」
そう思うならというのだ。
「そっちでね」
「生きている方ならなんだ」
「そっちでね、結末が幾つかあるなら」
作品のそれがというのだ。
「それならね」
「いい方がいい」
「そうじゃないかな、いい結末なら」
それならというのだ。
「もうね」
「それでいいんだね」
「そうだよ、自分がいいと思う結末がね」
「いいんだね」
「そう思うけれど」
小林に話した。
「どうかな」
「そうかもね」
小林も否定せずに応えた。
「言われてみると」
「そうだっていうんだ」
「うん、じゃあ僕はハッピーエンド好きだから」
「生きてる方だね」
「タイガーマスクと侍ジャイアンツは」
「僕もそっちだよ」
芝下は笑って応えた。
「生きてる方がね」
「いいね」
「巨人の星は旅立つ」
「その終わりでいいね」
「あとあのお父さん死んで」
「あのお父さんはそれでいいね」
「最低だからね」
二人で笑って話した、そして部活の活動に入った。そうして終わりとそれぞれお気に入りの漫画を読んでその結末を待つのだった。
最終回を知っているか 完
2024・12・24
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