金木犀の許嫁

「真田家歴代の方々の中でもです」
「最高ですね」
「そして戦国時代全体を見ても」　
　そうしてもというのだ。
「やはりです」
「最高の方のお一人ですね」
「そう言っていいまでの方です」
「大坂の陣を見ますと」
「まさに戦国の最後に相応しい」　
　大坂の陣での活躍はそこまで言われている、大坂の陣で戦国時代が終わったので尚更言われていることである。
「活躍でしたし」
「徳川家康さんをあと一歩まで追い詰めた」
「そうでしたので」
「そう言われますね」
「そして生き残ったことがです」
　史実では死んだことになっているがというのだ。
「尚更です」
「凄いですね」
　佐京が応えた。
「やはり戦をしても」
「生き残ることがです」
「第一ですね」
「死すべき時は死に」　
　そうしてというのだ。
「そうでない時はです」
「生き残ることですね」
「そうあるべきなので」
　だからだというのだ。
「あの方は秀頼公をお護りし」
「ご先祖様達と共にでしたね」
「薩摩に落ち延びられました」
「その為に生き残られましたね」
「そうでした」　
　まさにというのだ。
「そのことを果たされたこともです」
「素晴らしいですね」
「そうなのです」
　まさにというのだ。
「しかも史実ではお亡くなりになったとです」
「なっていますね」
「そうして人の目も晦ました」
「そのことも素晴らしいですね」
「実に」
　こう言い切った。
「秀頼様が生きておられる」
「そのことはですね」
「どうしてもです」
「公には出来なかったですね」
「そのことはおわかりですね」
「はい」
　佐京もそれはと答えた。
「やはり」
「ですから」
　それでというのだ。
「このこともです」
「覚えておくことですね」
「そうすべきです」
　まさにというのだ。
「私達も」
「そうですね」　　
　佐京は強い顔になって頷いた。
「そのことは」
「そして江戸時代の間です」
「薩摩におられて」
「世を忍んでいました」
「名を隠して」
「そうしていました、そのこともです」
　幸雄はさらに話した。
「素晴らしいこととです」
「言っていいですね」
「幸村公は普通の武士ではありませんでした」
　そうだったというのだ。