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小さくてもお姉ちゃん

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第一章

               小さくてもお姉ちゃん
 国咲家の家族の一員であるトイプードルのふわりは女の子である、それで時々家族が彼女を犬の美容院に連れて行って身体を洗ってもらいセットもしてもらうが。
 そのふわりを見てだ、家の母親である百合子は散歩中に夫の文太に言った。
「ふわりもいい年齢よね」
「人間だとな」
 文太はリードにつながれ自分達の前を進むふわりを見つつ答えた。
「そうだよ」
「立派な大人ね」
「ああ」 
 その通りだというのだ。
「とっくにな」
「そうなのよね」
「それがどうしたんだ」
「いえ、だったらね」 
 百合子はさらに言った。
「ふわりから見て妹になる」
「あの娘達か」
「ええ、会ったら可愛がってるね」
 ふわりがというのだ。
「あの娘達から見て」
「もうな」
 文太はそれこそと話した。
「お母さん位にな」
「歳が離れてるわね」
「人間ならな」
 ふわりを人間の年齢で考えると、というのだ。
「もうな」
「それ位離れてるわね」
「そうだよ」
「二年や三年の差でも」
「人間と犬だとな」
「そこまで離れてるのね」
「ずっと子供じゃないんだ」 
 文太はこうも言った。
「人間もそうだけれどな」
「犬だってね」
「そして犬はな」
「すぐに大人になるわね」
「一年もすればな」
 産まれてというのだ。
「もうな」
「それ位になるわね」
「そうだ」
 実際にというのだ。
「だからな」
「ふわりもすぐ大人になっていて」
「今だとな」
「あの娘達から見てお母さんね」
「ふわりがどう思っていてもな」
「そこまで歳が離れているのね」
「姉妹でもな」
 そうなっているというのだ。
「そうなんだよ」
「そうよね、それだとね」 
 百合子は夫の話をここまで聞いて言った。
「私達もね」
「ああ、ふわりの方が年上になるぞ」
「何年かしたら」
「十年もしたらな」 
 それこそというのだ。
「ふわりはお婆さんでな」
「私達より年上ね」
「そうなるんだ」
「それが犬の歳の取り方ね」
「猫も同じだよ」
 この生きものもというのだ。
「やっぱりな」
「すぐに大人になって」
「そこからな」
「人間より速く歳を取るわね」
「十年も生きれば」 
 猫がというのだ。
「もうな」
「お爺さんお婆さんになってるわね」
「人間で十歳はまだ子供でも」
 それでもというのだ。 
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