金木犀の許嫁
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第四十六話 鯨を食べてその六
「いいとです」
「幸雄さんはお考えですか」
「そうです、低い心は卑屈ではなく」
こうも言った。
「プライドと尊大もです」
「違いますね」
「ですから双方を併せ持ち」
「学んでいくことですね」
「そうしていくといいと思います」
「そうですか、わかりました」
白華は確かな顔で頷いて応えた。
「ではこれからも」
「学んでいきますね」
「そうします」
こう言うのだった、そしてだった。
話をしつつだ、一家で鯨も他のものも食べ。
やがて酒を飲んだ、今日の酒は焼酎だったが。
幸雄は焼酎を飲んでだ、赤くなった顔で話した。
「真田幸村公は焼酎がお好きでしたが」
「そうでしたね」
佐京も飲みつつ応えた。
「あの方は」
「はい、そしてあの方は次男でした」
「そうでしたね」
「兄上がおられました」
真田昌幸というのだ。
「そうでした」
「そのことは有名ですね」
「ですが」
それでもというのだった。
「戦ではです」
「兄上よりもですね」
「優秀とです」
その様にというのだ。
「言ってよかったですね」
「そうですね」
佐京も確かにと頷いた。
「あの方は」
「あの方を見てもわかります」
「能力は年齢や立場では決まらないですね」
「経験、それに」
それに加えてというのだ。
「才能がです」
「関わりますね」
「はい」
そうだというのだ。
「やはり」
「そうなりますね」
「そうです、幸村公は才能がありました」
戦いのそれがというのだ。
「おそらく真田家の中でもです」
「かなりですね」
「戦に強い家でしたが」
それでもというのだ。
「その中でもです」
「特にですね」
「お強い方で」
そうであってというのだ。
「それは何故かといいますと」
「才能があって」
「経験、そして学問で」
「備えましたね」
「武芸の鍛錬も」
「だからお強くて」
「兄上よりも」
長男であった彼よりもというのだ。
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