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口紅を塗らなくても

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第一章

                口紅を塗らなくても
 津本紗理奈は茶色の髪の毛をロングにしていて切れ長の長い睫毛の目と日焼けした肌を持っている、やや面長ですらりとしたスタイルで脚が長い、背は一六六である。
 メイクは薄い、だが。
「あんたいつもね」
「口紅目立つわね」
「真っ赤じゃない」
「凄いわね」
「塗ってないわよ」
 あっさりとだ、紗理奈はクラスメイト達に答えた。所謂ヤンキーの着こなしで緑のブレザーとグレーのミニスカートの制服を着ている、赤いネクタイもルーズにかけている。
「別に」
「そうなの?」
「真っ赤だけれど」
「違うの」
「そうなの」
「ほら」  
 ティッシュを一枚出して口に触れさせた、その触れた部分を見せるとだった。
「この通りよ」
「付いてないわね」
「それじゃあね」
「口紅付けてないわね」
「私メイクはあまりしないから」
 だからだというのだ。
「この通りね」
「口紅付けないの」
「そういえばファウンデーションも薄いし」
「アイシャドーもないし」
「口紅もなのね」
「リップクリーム位よ」
 実際に今それを付けている。
「本当にね」
「赤くてもなのね」
「口紅は付けてないのね」
「その実は」
「そうなのよ」 
 クラスメイト達に笑って話した、そしてだった。
 彼氏で同じ高校の同級生の浜中清正、長身で引き締まった体格をしていて茶色にした髪の毛を短くし鋭い目と微笑んだ口元を持つ彼にはだ、こう言われた。
「口紅しなくても赤いっていいよな」
「そう言ってくれるの?」
「ああ、塗る必要ないからな」
 一緒に下校している時に言われた。
「だからな」
「それでなのね」
「ああ、それに若しぶつかってな」
 清正はこうも言った。
「口がぶつかってもな」
「その人に口紅付かないから」
「いいだろ」
「そうね、付けたら迷惑だしね」
「流石にそれで浮気疑う人いないけれどな」
「実際はね」
「それこそな」  
 清正は笑ってこんなことを言った。
「下着に付いてないとな」
「下着?」
「ああ、結婚した従兄の兄ちゃんの奥さんの母方の祖父さん昔凄い遊び人でな」
 それでというのだ。 
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