祖父ちゃんの餃子
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第三章
「味が決まるからな」
「そうしたことはな」
「勉強するだけじゃなくてな」
「実際に作って食って」
「どうなのか確かめてな」
その味がというのだ。
「今は駄目でもな」
「次は、だよな」
「そうしてやっていくんだ、だからな」
「これからもだよな」
「努力しろよ」
「そうしていくな」
孫は祖父に約束した、そして中華料理特に餃子を作っていき。
三十になってだ、祖父が店を継げと言った時に言われた。
「祖父ちゃんの味になったぞ」
「これでか」
「ああ、ただお前の味も入ってるな」
「そうだよな、まだな」
二人で常彦の餃子を食べつつ月男に応えた。
「祖父ちゃんの味じゃないな、しかもな」
「そこに別の味が入ってるな」
「俺の味がな」
「これでいいんだ、造る人間の個性は出るんだ」
「完全に祖父ちゃんの味じゃないなんてな」
「いや、いいと言っただろ」
孫が作った餃子を昼に賄いで食べつつ話した。
「完全にその人の味にはならないんだ」
「別の人が作るからか」
「だから祖父ちゃんの味を受け継いでもな」
「俺の味が入ってか」
「それでいいんだ、だからな」
それでというのだ。
「これからこの店を頼むぞ」
「ああ、ショッピングモールから声かかってな」
「この辺りお客さん減ってるな」
「それでモールのオープンと一緒にな」
「そっちに店移すな」
「それからもな」
祖父に笑顔で話した。
「やってくな」
「ああ、この餃子なら大丈夫だ」
祖父は笑顔で言って引退した、そしてだった。
常彦は店の主になりショッピングモールで中華料理特に餃子を作って売った。その餃子は好評でモールの人気店の一つになった。
祖父ちゃんの餃子 完
2024・12・19
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