金木犀の許嫁
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第四十五話 鯨肉その十一
「見習うわ、ちなみにね」
「ちなみに?」
「あの理事長さん達が信者さんの天理教の教会にいた」
「あのどうしようもない人ね」
「働かないで図々しくて尊大で恩知らずっていう」
「文句ばかり言って人の家に上がり込んで大飯食べる」
「この人実は長男さんだったらしいわ」
このことを話すのだった。
「それでもね」
「駄目だったの」
「実際そんなこと弟さんに言って」
そうしてというのだ。
「自分は全くね」
「努力しなくて」
「それでそうなって」
「弟さん達になの」
「弟さん達はちゃんと働いてね」
そうであってというのだ。
「色々努力していて」
「その人よりも立派だったのね」
「そうだったのよ、あの人を見てもね」
「言えることね」
「そう、夜空ちゃんにいいところがあれば」
真昼はあらためて言った。
「私はね」
「見習うのね」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「よくなる様にね」
「していくのね」
「そうしていくわ」
実際にというのだ。
「これからもね」
「いいことですね」
白華は真昼のその言葉を聞いて頷いた。
「どんな人でもいいところがあれば」
「それでね」
真昼は白華にも応えた。
「見習ってね」
「自分がよくなるんですね」
「そうなるの、ただね」
「ただ?」
「今お話した人は白華ちゃんも知ってるわね」
「学園でも有名人ですね」
「理事長さんが信者さんの教会にいた人だから」
真昼は白華にもこのことを話した。
「八条家の人はどなたも信者さんで」
「天理教の」
「だからね」
それでというのだ。
「学園でもよ」
「有名人ですね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「八条グループでもね」
「有名ですね」
「駄目過ぎる人ってことで」
「ああはなるまいと」
「思われてね」
それでというのだ。
「有名だから」
「私達も知っていますね」
「世の中駄目な人もいるけれど」
「その中でも」
「とりわけね」
こう言っていいまでにというのだ。
「駄目と言ってね」
「いい人ですね」
「だからね」
そうした輩だからだというのだ。
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