| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

急に倒れた理由 

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

                急に倒れた理由 
 営業部長の山田勝家は毎日朝早くから夜遅くまで働いている、休日返上で兎に角働き続けている。五十歳だが若々しく顔には皺一つない。霧っとした眉の太い顔立ちで黒髪も光沢がある。毎日よく歩いているので長身は引き締まっている。
 部下には定時に出勤させ定時で帰らせ休日は休ませている。それでこう言うのだった。
「俺は管理職だからな」
「だからですか」
「いつも働かれますか」
「そうなんですか」
「それに健康そのものだからな」 
 身体の話もした、それも笑顔で。
「バリバリ働けるんだ、皆無理しないで休め」
「そうしていいんですか」
「それならです」
「部長が言われるなら」
「俺は好きでやってるしな」 
 こうまで言ってだった。
 山田は働き続けた、だがある日だった。
 山田は欠勤した、このことに部下達は驚いた。
「あれっ、部長が欠勤?」
「家族の人達から連絡があったらしいけれど」
「あの部長が欠勤?」
「あんな元気な人が」 
 こう言って驚いた、それでどうして欠勤したかを確認すると。
「過労か」
「朝出勤しようとしたら倒れてか」
「そのまま入院なのね」
「それはまた」
「全く、こうなるんじゃないかって思ってたよ」
 専務の佐古下富士夫が言った、黒い短い髪で穏やかな面長の顔の中肉中背の五十代の男だ。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧