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一人のクレーマーが

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第二章

 慎重に意見を聞いて情報を集め考えた、寺の中でもじっくりと会議を重ね。
 除夜の鐘を続けることにした、結果苦情を言ったのは。
「一件だけだったな」
「近所で有名なクレーマーでしたね」
「あちこちに文句ばかり言うな」
「勤め先でも嫌われ者の初老の男の人でしたね」
「門多隆宏というな」
「はい、その人だけで」
「おかしな人ということでな」
 そうした輩の意見だとわかってというのだ。
「話は収まった」
「そうですね」
「それでだ」 
 銀光はさらに話した。
「かえってその人が批判されてな」
「終わりましたね」
「そうなった、そうした意見が出てもな」
「すぐに中止とかしたらよくないですね」
「慎重に調べて話を聞いて考えてだ」
「決めることですね」
「一人のクレームで全てが決まるとな」
 そうなると、というのだ。
「世の中はおかしくなる」
「そうですね」
「だから今回はこうしたが」
「これからもですね」
「そうしないと駄目だな」
「除夜の鐘だけでなく」
「他のこともな」
 こう青光に言った、そしてだった。
 除夜の鐘は続けられた、その決定に近隣の殆どの人が喜んだ。そうして一人のクレーマーだけが批判された。誰もが大団円だと思った。


一人のクレーマーが   完


                   2024・12・15 
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