星河の覇皇
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第八十七部第四章 首相官邸にてその七十二
「多くの有権者にはどうか」
「ネットで常に正体が見極められる」
「それが広く伝わる社会で」
「それが出来るか」
「それはですね」
「無理だ」
アッチャラーンの今の返答は一言だった。
「だからだ」
「そうした輩はですね」
「失脚させることは簡単ですね」
「権力欲だけで無能な輩は」
「左様ですね」
「実にな、しかしだ」
アッチャラーンはこうも言った。
「それに加えてだ」
「ビジョンと能力がある」
「それならばですか」
「首相としてもですか」
「簡単に排除は出来ないしだ、受けて立つこともだ」
このこともというのだ。
「する、そして」
「奪えるなら奪え」
「そう言われますね」
「その相手の人に」
「そうされますね」
「口に出しては言わないが」
それでもというのだ。
「そう言う、私もそうだった」
「首相もですか」
「かつてはですか」
「そうでしたか」
「若い頃からな」
政治家になった時からというのだ、元々アッチャラーンはタイの地方政治から出て来た、市会議員として実績を挙げ市長となりタイの中央政界に出てそこから今に至るのだ。
「政策を出してそれを実現させてだ」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「今に至りますね」
「首相としても」
「そうだ、若い頃の自分を思い出す訳ではないが」
それでもというのだ。
「政治の世界は謀略もあるからな」
「それも使い上がろうとするなら」
「それならですね」
「よいとされ」
「受けて立たれますね」
「左様ですね」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「いい、だが謀略を使わずだ」
「それでやっていけるならですね」
「それならですね」
「最善ですね」
「そうだ、その点八条長官は凄い」
彼はというのだ。
「彼は謀略とは無縁だな」
「一切使われないですね」
「謀略の類は」
「それを使われるよりも」
「政策を進められていますね」
「そうした御仁ですね」
「しかも清廉潔白だ」
彼のその性格の話もした。
「そうした政治家も強い」
「謀略を使わずともですね」
「政策がしっかりしていて」
「それで清廉潔白なら」
「ならいい」
それでというのだ。
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