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神々の塔

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第九十二話 最上階その三

「ほんまそやね」
「努力せえへん人ってね」
「それまでやしね」
「若しもね」 
 アレンカールは綾乃にも話した。
「全く努力しないでふんぞり返ってると」
「そこで終わりやね」
「天狗になってもね」
 それでもというのだ。
「努力してたらね」
「よおなるね」
「けどね」
 それでもというのだ。
「天狗になって終わりで」
「努力せんとね」
「あかんね」
「そやね、天狗になっても」
「努力してるってことは」
「まだ上がある」
「そう思ってるからやし」
 だからだというのだ。
「まだましね」
「努力してたら」
 それならというのだ、そしてだった。
 綾乃はここでだ、こうも言った。
「この塔は努力する塔やね」
「そやな」
 シェリルがまさにと応えた。
「何万階も踏破して」
「多くの戦を乗り越える」
「それはな」
「努力してこそ乗り越えられるから」
「ほんまにな」 
 それこそというのだ。
「努力する塔や」
「そうなるね」
「努力して」
 そしてというのだ。
「そのうえで登っていって」
「踏破する」
「それこそが」
「人が成長して大きなものを得る」
「そうなるもとやな」
「ほんまにね」
「そう考えたら」
 シェリルは確かな声で述べた。
「私達はもう得たいものを得てるのかもな」
「そやね、けれど実際はどうか」
「そのことがこれからわかるわ」
「そやね、ほなね」
「行こうな」
「最上階に」
 こう話してそうしてだった。
 十人は遂に最上階への階段に足をかけた、よく先頭を進む中里が最初にそうして十人で上がっていき。
 遂に最上階に着いた、だがそこは何もなかった。
 ただの広間だった、石を敷き詰めた床がありそれだけだった、他には何もなく中里はまさかという顔になって言った。
「これで終わりやないな」
「そんな筈ないやろ」  
 芥川は笑って応えた。
「こうした場合はな」
「お迎えが来るな」
「そういうもんやろ」
「そやな、ほなお迎え待つか」
「そうしよな」
 こう話した瞬間にだった。
 一行のところに黄金に輝く身体を持つ巨大な鳥、空を飛ぶ孔雀の様なその鳥が来た。中里はその鳥を見て言った。
「フェニックスやな」
「はい」
 鳥は中里に澄んだソプラノの声で答えた。
「皆さんをお迎えに来ました」
「やっぱりそやな」
「それでなのですが」
「これからやな」
「私の背に乗って下さい」
 こう言うのだった。 
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