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金木犀の許嫁

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第四十四話 色々楽しんでその十一

「アウトなのよ」
「作品として」
「そう、源氏物語は今読むとね」
 この作品はというと。
「古典で文章はわかりにくいわ」
「現代語訳大変ですね」
「谷崎潤一郎さんも苦労したし」
 まさに源氏にはじまり源氏に終わるという一日を延々と過ごしそのうえで完成させた。その労苦の介あってか彼の源氏物語の評価は高い。
「難しいけれど現代語訳したら」
「読みやすいですか」
「そしてそのテーマもね」
「わかりやすいですか」
「さっきも言ったけれど源氏物語は仏教小説でもあるから」
 恋愛小説でありだ。
「言いたいことはね」
「仏教の考えですね」
「そう、仏教も学べるし」
「紫式部さんの言いたいこともわかりますね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「かなりわかりやすいそうだから」
「現代語訳を読むことですね」
「源氏物語はね、本当にわかりやすいのが」
「いいですね」
「それを何か今の時代の文章なのに」
 そうであるがというのだ。
「何か小難しい漢字や横文字を延々と書いて」
「文章にしたら」
「その文章の表現もそうしたらね」 
 小難しいものにというのだ。
「難しくなるのよ、けれど中身はね」
「ないですね」
「難しい文章読めないイコール読解力がないのじゃないのよ」
「違いますか」
「そうよ」 
 まさにというのだ。
「誰が読んでもわかる文章を書く」
「それが大事ですね」
「むしろね」
「難しい文章を理解出来たつまり読解力があって」
 夜空はここまで聞いてこう言った。
「読解力があってこの作品のテーマ理解出来た自分凄いそしてこんなの書いた作者さん凄いじゃないのね」
「全くね」
「その実は何でもないのね」
「一見小難しい文章の羅列で読者さんにそう思わせてね」
 そうしてとだ、真昼は話した。
「凄いって思わせて人気を手に入れるなら」
「まやかしね」
「そう、誰でもわかる文章を書いてこそね」
「価値があるのね」
「太宰治なんて読みやすくてね」
 そもそも文章自体がそうである。
「読んでいて理解もね」
「しやすいのね」
「走れメロスだってそうだしね」
 彼の代表作の一つである。
「テーマは友情と信頼だから」
「わかりやすいわね」
「それを延々とそうした単語を使った無駄に長い長文を出して」
 そうしてというのだ。
「登場人物に喋らせて読者さんに読ませて」
「理解出来た自分凄い、書いた作者さん凄いって思わせたら」
「もうね」
 それこそというのだ。 
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