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金木犀の許嫁

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第四十四話 色々楽しんでその七

「鉄仮面も出ていたの」
「基本活劇ですよね」
「そう、宰相さんも絡んだね」
「面白い作品ですね」
「実際に面白いから」
 読んでというのだ。
「本当にね」
「読んで損はないですね」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「こちらもね」
「そうなんですね」
「文学作品は読むとね」
 そうすると、というのだ。
「下手な哲学書や思想書よりずっといいわよ」
「面白くてですね」
「ためになるのよ」
「いいものを授かりますか」
「凄くね」
「そうなんですね」
「漫画もいいけれどね」
 こちらもというのだ。
「文学、小説はね」
「読むと面白くて」
「そのうえでいいものを沢山得られるから」
 だからだというのだ。
「読むといいわよ」
「じゃあ三銃士も読むといいですね」
「他の作品もね」
「色々とですね」
「じゃあ」
 夜空は真昼の話を聞いて言った。
「一度ね」
「読んでみる?」
「ええ、お話全体をね」
 ダルタニャン物語のそれをというのだ。
「どうなのか」
「兎に角長いからね」
「そのことは頭に入れることね」
「デュマさんの小説って長いのよ」
「そうなの」
「ビクトル=ユゴーもそうだけれど」
 デュマと並び称されているこのフランスの文豪もというのだ。
「デュマさんの作品もね」
「長いのね」
「原文はね」
「そうなの」
「ああ無情なんてね」
 ユゴーの代表作の一つであるこの作品はというと。
「大長編でしかも暗いのよ」
「えっ、暗いの」
「そう、訳文のせいかも知れないけれど」
 日本語のというのだ。
「文章が暗くて」
「そうなの」
「もう陰々滅々としていて」
「暗いのね」
「もうお説教されてるみたいで」
 読んでいてというのだ。
「それがかなりね」
「長いの」
「ユゴーさんの文章は兎に角べらぼうに長くて」
 そうであってというのだ。
「それがずっとね」
「暗いの」
「そうなの」
 これがというのだ。
「本当にね」
「何か読むの怖いわね」
「お話自体はやっぱり活劇系でね」
 ユゴーの作品もというのだ。 
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