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八条学園騒動記

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第七百七十七話 不潔な入浴その七

「ヒトラーも奇麗好きで」
「あの独裁者もなの」
「そうだったの」
「一日に何度もね」
「お風呂入ってたのね」
「そうだったのね」
「朝起きたら」 
 明け方まで仕事をしてソファーでまどろみ朝の九時になると起こされたという、独裁者は権限を集める分多忙であるのだ。
「すぐにね」
「お風呂入ってたの」
「ヒトラーってそうだったの」
「それで目を覚まして」
 また疲れも癒したという。
「お仕事してその間もね」
「何度もなのね」
「お風呂入ってたのね」
「歯磨きは嫌いだったそうだけれど」 
 その為虫歯や歯周病に悩んでいたという。
「身体はね」
「清潔にしてたのね」
「あの独裁者も」
「ヒトラーもそうだって言われたら」
 一日に何度も入浴していたということをだ。
「いい気はしないわ」
「まあヒトラーはいいでしょ」
 アンネットはこの人物はと彰子に告げた。
「別にね」
「いいの」
「だって特殊な事例でしょ」
「かなり潔癖症だったみたいね」
「だったらね」 
 それならというのだ。
「もうね」
「ヒトラーはいいのね」
「日本の皇室の方々は儀礼でしょ」
「ご公務でね」
「お身体を清められていて」
 それでというのだ。
「そうされているのよ」
「だったらヒトラーとはね」
「事情が違うのね」
「ヒトラーが奇麗好きだっていうのは知らなかったけれど」
 それでもというのだ。
「ヒトラーはヒトラーで」
「日本の皇室は日本の皇室ね」
「だからね」
「気にしないことね」
「そうよ、しかしね」
「しかし?」
「ヒトラーってかなりね」
 アンネットは考える顔で彼について話した。
「奇麗好きだったのね」
「そうみたいね、何でもね」
 アロアが応えた。
「女の人にもね」
「清潔だったの」
「そうしたお話ないでしょ」
「ないわね」 
 アンネットも確かにと答えた。
「あの人は」
「独裁者だったけれど」
「その権力でなのね」
「女の人を思いのままとか」
 そうしたことはというのだ。
「全くね」
「しなかったのね」
「若い頃からね」
 ウィーンで美大に落ち続けていた頃からだ。
「もうね」
「女の人には清潔だったの」
「遊ぶこともなくて」
「女好きじゃなかったのね」
「全くね」
 そうだったというのだ。 
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