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星河の覇皇

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第八十七部第四章 首相官邸にてその四十九

「既にです」
「察しておられますね」
「あの方の情報網はかなりで」
「察しのいい方でもありますね」
「老練と言われていますが」
 事実アッチャラーンはこう言われることが多い、身長一八〇で連合の成人男性ではやや小柄なので小さな策士と言われることもある。
「事実です」
「その手腕はですね」
「私もそう思います」
 老練と、とうのだ。
「八十を越えられてて」
「尚更ですね」
「そうした方なので」
「そうですね、ただ連合の平均寿命は百歳です」
 男女共にである。
「そのことを考えますと」
「八十でもですね」
「首相ご自身が言っておられますが」
「まだ若いですね」
「そうなのでしょう」
「そうですか」
「人間五十年ではありません」
 敦盛の言葉だ、織田信長が愛したことで知られている一句だ。
「今や」
「百年ですね」
「その百年から見れば」
「八十を超えてもですね」
「まだです」
 それこそというのだ。
「やれるとです」
「お考えになっても」
「いいかと」
 こう金に述べた。
「七十で古稀と言われた時代ではないですから」
「七十ではまだまだ若い」
「定年にも至っていません」
 この時代の連合ではそうであるのだ、八十でようやく定年かという位だ。
「そう考えますと」
「首相もですか」
「お若いのでしょう」
「まだですね」
「はい、何しろです」
「人間百年ですね」
「それまで生きられるので」
 それでというのだ。
「まだまだとです」
「考えて」
「勤めておられるのでしょう」
「そうなのですね」
「老練でもです」
 小柳が見てもアッチャラーンはそうした政治家である、ただし彼は若い頃より策士として知られている人物だ。
「まだまだとです」
「勤められると」
「お考えかと」
「そうですか」
「はい、出来れば」
 小柳は微笑んでこんなことも言った。
「首相とは敵対したくないですね」
「敵にするとですね」
「非常に手強いです」 
 金に微笑んで述べた。
「やはり。ですが」
「味方ならですね」
「強敵は頼りになる味方にもなります」
 立場が変わればというのだ、そして連合ではそれが代わるのが常である。 
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