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ロンリーウルフ

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第一章

                ロンリーウルフ
 種族は狼人である。
 眉月浩二は漆黒の毛ときりっとした顔立ちに長身の引き締まった身体を持っていた、彼は高校を卒業するとすぐに冒険者になった。
「なってみたかったんだよ」
「大変だぞ」
「命がけよ」
 八百屋をしている両親はこう息子に言った。
「それになるなんて」
「普通に働けばいいのに」
「いや、俺狼人だろ」
 父の又吉と母の香澄に言った、父は息子そのままの黒い毛で初老の狼の顔だ、母は白い毛で優しい顔立ちだ。
「だから一匹狼って言われてる感じでな」
「それでか」
「それで冒険者になるのね」
「ああ、一匹狼の風来坊でな」
 そうであってというのだ。
「気楽に過ごすさ」
「命がけでもか」
「そうするのね」
「そうするさ、たまに家に帰るからな」
 明るく笑ってすぐに冒険者ギルドに登録してだった。
 彼は冒険者になった、するとすぐに地元日本の安芸のギルドから職業の適性をチェックされて好きな職業の一つであるハンターの適性があったのでその職業になった。そうして職業訓練を受けた後で冒険者としての活動をはじめたが。
「工事現場の作業員か」
「はい、そのお仕事がありますが」
 受付の猫人の若い女が答えた、スーツとズボンのギルドの制服が似合っている。
「如何でしょうか」
「他に仕事あるかい?」
「他は町の清掃がありますが」
「モンスター退治とかないんだな」
「今はそうです」
「冒険者ギルドなのにか」
「お仕事はモンスター退治やダンジョンの探索だけではないですね」
 受付嬢はにこりと笑って答えた。
「そのことはもうご存知ですね」
「それはな」
「人手が不足していますと」
 そうであるならというのだ。
「冒険者の方はです」
「それがクエストになるんだな」
「そうです、では宜しいですね」
「ああ、工事現場の作業員になるよ」 
 これが浩二が冒険者になった最初の仕事だった、住み込み食事付きで働いてだった。
 収入を得た、その後はビルの窓拭きをしてその後はアイドルのステージの誘導だった。それからもだった。
 彼は色々な仕事をした、だが。
「モンスター退治ねえな」
「この辺り平和だからな」
「街の周りも穏やかだしな」
「アマゾンやサハラ砂漠と違ってな」
「平和だよ」
「出るっていったら熊とかの獣でな」
 そうであってとだ、浩二はギルドの酒場で仕事仲間達と共にビールをジョッキで飲みつつ話している。そこにいる全員冒険者らしい身軽な服装である。全員ズボンとブーツにラフな上着といったものだ。
「軍で対処出来てるしな」
「そうなんだよな」
「今のところはな」
「それで俺達の仕事っていったら」
「作業員とか誘導とかな」
「清掃とかな」
「短期か日雇いの労働者みたいだな」
「どうもな」
「そりゃな」
 浩二は和風の酒場の中でビールを飲みつつ言った、つまみは枝豆と冷奴でこちらも和風そのものでビールだけが違う。 
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