モラルハザード
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第二章
「それならいいがな」
「是非やってくれ」
「こんな状況は沢山だ」
「こんなドイツは嫌だ」
「夢も希望もない」
「そして荒みきってるんだ」
「ナチスがその状況を何とかしてくれるなら投票するぞ」
工場の中も荒んでいる、仕事はあっても誰もが目が死んでいる。働いても何も得られないという顔であった。
その中でだ、彼等は話した。
「戦争に負けて何もなくなった」
「犯罪ばかり増えておかしな奴があちこちにいる」
「金も食いものもない奴が街を彷徨っている」
「そのドイツを何とかしてくれるならな」
「是非そうしてくれ」
「こんな状況は沢山だ」
二人だけではなかった、多くの者がだった。
ナチスに傾き彼等に投票した、そうしてだった。
ナチス、ドイツ国家社会主義労働者党の党首アドルフ=ヒトラーは大統領と首相を兼ねた総統に就任しナチス以外の政党を解散させ一党独裁体制を確立してドイツの全権を掌握した、すると早速であった。
彼は大規模な建設事業に兵器の増産を開始しそこに雇用を生じさせてだった。
地銀を安定させインフレーションも抑えた、それだけでなく労働条件も確かに定め労働者達の生活を保障し。
警察力を強化し治安を徹底させた、精神異常の犯罪者達には容赦せず退廃的な空気を一掃し健全な娯楽を提供した。
するとだ、ドイツは一変しバーデンは仕事帰りにビールを飲みつつ一緒に飲んでいるクラウスに話した。
「一変したな」
「そうだな」
クラウスも確かにと応えた。
「あんなに酷かったドイツがな」
「すっかり明るくなったな」
「犯罪もなくなってな」
「荒んだ空気もなくなった」
「引き締まって健全になったな」
「全くだ」
こうクラウスに言った。
「今のドイツは」
「全部総統閣下のお陰だ」
「仕事を安定させてくれた」
「しかも治安は見違えるみたいになった」
「街から犯罪者がいなくなった」
「おかしな殺人鬼もな」
二人は笑顔で話した。
「インフラも収まってな」
「しかもそうなった」
「ドイツは健全になったんだ」
「皆で楽しくピクニックや映画を楽しめてな」
「孤児だって仕事貰えて娼婦も同じだ」
「街も奇麗になった」
「皆目が生き生きとなってきた、ちょっと前までのドイツは」
その頃のことを思い出して言うのだった。
「こんなのじゃなかったな」
「ああ、荒んでモラルなんて崩壊してな」
「人食いの殺人鬼があれやこれやと出て来た」
「それが終わった」
「全部総統閣下のお陰だ」
「総統閣下万歳だ」
満面の笑顔でビールを飲みソーセージを食べつつ話した、そうしたものの値段も安定し酒場の他の客達も笑顔であった。
一次大戦後のドイツのモラルの崩壊は言われることがある、そして食人を行う殺人鬼が出たことも事実だ。他にも様々な後輩した有様が見られた。
だがそれはナチスが政権を握った時に終わった、彼等がドイツ人に仕事を与えインフラを抑えただけでなく治安強化と健全とされる娯楽の提供に力を入れたからだ。そしてドイツの治安はよくなり以上犯罪者は消えた。このことは歴史にあることだ。少なくともナチスはドイツのそうした惨状を終わらせたということは間違いないことである。
モラルハザード 完
2024・6・12
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