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ジャパニーズ下着

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第一章

                ジャパニーズ下着
 日本に来てだ、ブラジル人の留学生マリア=カタローニャ縮れた長い黒髪で長身でスタイルのいい褐色の肌に黒い目と丸い顔の彼女は言った。
「こっちティーバックだけじゃないのね」
「いや、ブラジルってね」
 大学で同じ寮の部屋で暮らしている江藤百合が応えた、黒い豊かな長い髪の毛で優しい顔立ちで背は一六四程で脚が長く胸も結構だ。だが百合はロングスカートにブラウスという大人しめのファッションでマリアはデニムの半ズボンでタンクトップという派手なものだ。
「皆ティーバックよね」
「女の子はね」
「その方がね」
 どうにもというのだ。
「日本だとね」
「違和感あるわよね」
「かなりね」
 こう言うのだった。
「皆っていうのが」
「百合ティーバック持ってないしね」
「派手だって思って」
 それでというのだ。
「ちょっとね」
「そこが違うわね」
「そうよ」
 一緒に百貨店の中の下着売り場に向かう中で答えた。
「そこはね」
「そうよね」
「ええ、ブラジルらしいって言えば」
「らしいでしょ」
「皆ティーバックなのはね」
「私もそう思うわ、ブラジルって派手好きなお国柄だから」
 だからだというのだ。
「下着もね」
「派手よね」
「そうなってね」
 それでというのだ。
「もうね」
「下着もよね」
「皆派手なのが好きで」 
 そうであってというのだ。
「女の人はティーバックなのよ」
「そうなるわね」
「そうなの」
 こう話した。
「これがね」
「それで日本では穿く人いても」
「皆じゃないわね」
「そうよ」
「そうなのね、けれど」 
 ここでマリアは百合にこんなことを言った。
「昔は日本は皆ティーバックだったじゃない」
「えっ、どういうこと?」
「褌よ」
 この下着だというのだ。
「日本の下着っていうとね」
「昔は褌で」
「女の人も穿いてたでしょ」
「それはね」
 百合も否定しなかった、百貨店の中を二人で歩きつつ話す。
「湯文字っていう腰に巻くのもあって」
「褌もあってよね」
「着物だから穿いていなかったかっていうと」
 その実はというのだ。
「違っててね」
「褌だったわね」
「湯文字かね」
「だったらね」
「日本も昔は皆ティーバックだったっていうのね」
「ええ」
 百合にその通りだと答えた。
「そうでしょ」
「そうなるかしら」
「男の人もでね、そう考えたらね」
 褌のことをというのだ。
「日本もかつては派手だったのよ、しかもね」
「しかも?」
「赤が多かったのよね」 
 今度は色の話もした。
「汚れが目立たないから」
「白も多かったけれど」
「赤もでしょ、あの時代に真っ赤な下着って」
 それはというと。
「かなりね」
「派手っていうのね」
「赤のティーバックなんて」
 笑ってだ、マリアは百合に話した。
「攻めてるわよ」
「そう言われたら」
 百合も否定出来なかった。 
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