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尻尾が短くていいのか

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第一章

                尻尾が短くていいのか
 ふわりの尻尾を見てだ、彼女の家族である国咲家の息子でラーメン屋のチェーン店で働いている文太はリビングでビールを飲んでいる父の文太に言った。
「トイプードルの尻尾って長いんだよな」
「実はな」
 父はその通りだと答えた。
「そうだぞ」
「そうだよな」
「切ってるんだよ」
 父はこのことも言った。
「生まれてすぐにな」
「それで短いよな」
「ふわりもな」
「生まれてすぐに切られるとな」 
 洋介はそれならと言った。
「別に痛くないか」
「ああ、まだ痛覚ないからな」
「生まれてすぐだとな」
「だから短いんだ」
「そうだよな、しかしな」
 洋介はケージの外で自分を遊ぶふわりを見つつ言った。
「人間の都合だよな」
「尻尾切るのはか」
「見栄えだよな」
 犬のというのだ。
「トイプードルの」
「尻尾短いと可愛いからな」
「そうだよな」
「元々トイプードルはそうだろ」
 この種類の犬はというのだ。
「水鳥捕まえる犬だっただろ」
「狩猟犬だよな」
「飼い主が撃ち落とした水鳥をな」
 その鳥をというのだ。
「水の中に飛び込んでな」
「泳いで咥えて持ってくるな」
「その為の犬だろ」
「そうだったよな」
「それがペットでな」 
 愛玩用に飼ってというのだ。
「可愛くしていったんだ」
「小さくしてな」
「足も短くしてな」
「そうしてだな」
「ふわりなんか完全にそうだぞ」
 今洋介と一緒に遊んでいる彼女はというのだ。
「小さくて足が短いのはな」
「可愛いからだな」
「そうなる様に品種改良されたんだよ」
「そうだよな」
「それでな」
 そうした考えでというのだ。 
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