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早寝早起き

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第一章

                早寝早起き
 サラリーマンの丹羽長吉はある日夕食の場で妻の房子にこんなことを言った、胡瓜の様な顔で目は細い。黒髪は白いものが混じってきていて背は一七〇位で痩せているが腹が出てきている。
「実は健康診断で脂肪率が高いって言われたんだ」
「お腹出て来てるし」
 房子はそれでと応えた、色白で丸いおかめ顔で黒髪をロングにしている、背は一五〇位で胸が結構大きい。
「それでよね」
「お父さんよくないよ」
 中学生の娘の香も言ってきた、母親そっくりの外見であるがより整った感じである。和風の美少女といった趣だ。
「太ったらね」
「そうだよな」
「ダイエットっていうか」
 娘はさらに言った。
「運動したら?」
「ジムとか行ってか」
「ランニングしたりね」
「よくあるな、ジムもお金かかるし」
 父はそれでと言った。
「それならな」
「どうするの?」
「朝早く起きて走るか」
 こう言うのだった。
「明日から」
「そうするの」
「高校まで陸上部だったんだ」
 娘にこのことも話した。
「それで毎朝早く起きて部活に行ってたんだ」
「部活の朝練ね」
「そもそも実家はお寺だからね」
「お寺朝早いから」
「早起きには慣れてるから」
 だからだというのだ。
「これからは朝早く起きて走るよ」
「それから会社行くのね」
 妻が応えた。
「そうするのね」
「うん、そうするよ」
「それじゃあね」 
 妻はそれならと頷いた、そして実際にだった。
 長吉は早起きをしてランニングをはじめた、毎朝自分から起きて雨でも走った。そうしてシャワーを浴びて朝食を食べて出勤し。
 充実した日々を過ごした、すると。
「脂肪率減ったのね」
「うん、そうなったよ」
 家で妻に話した。
「すっかりね」
「それはよかったわね」
「いや、お腹もね」
 自分のその部分も見て話した。
「すっかりね」
「へこんだわね」
「そうなったよ、会社でもエレベーターよりもね」
「階段を使う様にしてるの」
「他にでも出来るだけ歩いて」
 そうしてというのだ。
「身体を動かす様にしているよ」
「そうしたら脂肪率減ったのね」
「そうなったよ」
「それは何よりね、ただね」
 妻は夫の話が一段落したところで彼に言った。
「早起きする様になって」
「ランニングをする様になって」
「夜早く寝る様になったわね」
「前まで結構だらだら起きていたね」
「それがね」
 その状況がというのだ。 
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