神々の塔
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第八十九話 最後の戦の前にその四
「僕等十星連合は都は日本にあるし」
「平安京やな」
「そして十人のうち三人が日本人や」
「棟梁、リーダーも含めてな」
「そやからな」
それだけにというのだ。
「最後に戦う神霊さんはな」
「日本神話の神々やな」
「そうなってるわ、リーダーが日本人で」
芥川は今度は綾乃を見て微笑んで話した。
「綾乃ちゃんやからな」
「うちが巫女で」
「神様にお仕えするな」
「その職業であることも影響してるんやね」
「そしてな」
そのうえでいうのだ。
「神具も全部な」
「日本神話由来やしね」
「草薙剣、八咫鏡、勾玉、八岐大蛇」
「全部そやね」
「そうなるとな」
「最後に戦う神霊さんもやね」
「日本の神々になるわ」
そうなるというのだ。
「ほんまな」
「もう道理やね」
「そういうことや」
「ほんま僕等のリーダーって綾乃ちゃんやからな」
中里も笑って言った。
「ほんまな」
「うちしかおらんの」
「そや、この十人だけやなくて」
今冒険を行っているというのだ。
「十星連合の星のモン全員でもな」
「うちがリーダーやねんね」
「そうなるのはな」
まさにというのだ。
「当然や」
「うちがどうしてリーダーか」
「将の将の器やからや」
中里は綾乃がそうであるからだと話した。
「それでや」
「将の将やね」
「そや、それはな」
将の将はというのだ。
「かなり特別や」
「漢の高祖劉邦さんやね」
「あの人はとんでもないカリスマがあってな」
「人を惹き付けてやね」
「中国を統一したけどな」
「その劉邦さんとうちは同じなん」
「そや、自然とや」
まさにというのだ。
「そう言ってええ位にな」
「人を惹き寄せて棟梁になる」
「そうなん」
「しかもな」
中里は笑ってこうも言った。
「劉邦さんは結構あかんとこも多かった」
「怠け者で酒好きで女好きで」
「逃げる為に自分の子供を捨てようとしたわ」
項羽との戦に惨敗した時のことである。
「特に皇帝になってからがな」
「あかんかったね」
「猜疑心が深くなってな」
「粛清して」
「ほんま碌でもなかった」
皇帝になってからの彼はというのだ。
「漫画にしてもな」
「よく描かれてへんね」
「そやったわ」
横山光輝の史記でそうであった、実に苦々しく描かれていた。
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