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戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星

作者:レーラ
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少女は平和を唄う

 
前書き
初めまして、レーラです。

ハーメルンで投稿していました戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星のリメイクをこちらであげさせていただく事になりました!

元々こちらで投稿するはずだったのですが、登録のメールが全然届かないという事態となり、止むを得ずpixivで投稿していましたが、無事に登録出来た!

文章力が致命的に欠けておりますが、それでも良ければよろしくお願いします!

ハーメルンで知っていただいた方向けではありますが、出来る限りのネタバレはお控えいただけると助かります。 

 
 私の親友は、この日常を守る為に戦った。
 
 
 血を吐きながら、痛みに耐えながら、悪夢に苛まれながら、それでも彼女は戦い続けた。
 
 
 命を燃やして唄ったかの日の歌は、この夜空に煌めく星のように輝いていた。
 
 
 燦然と輝く星々によって彩られた夜空を撮るべく、私はシャッターを押した。
 
 
 最高の写真が撮れたはずだった。誰にも文句を言わせない、世界でたった1枚しかない最高の写真を。そのはずなのに……
 
 
 私の心は満たされなかった。

 
 だって私が撮る写真には……大切な者がいない……。
 
 
「やっぱり……アンタがいないと……ダメだよ……瑠璃……!」
 
 
 星になった彼女を思い、咽び泣いた。
 
 
 
 
 
 戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星
 
 
 
 
 ☆☆
 
 
 
 
 
 ……ちゃん……
 
 
 
 
 ふた…………と…………め…………いっ…………よ……
 
 
 
 
 い……いで……お……え…………ちゃ…………!
 
 
 
 
 い……だ…………おね…………ちゃ…………!
 
 
 
 
 お…………ね…………ちゃ………………!
 
 
 
 ピピピピ……!ピピピピ……!
 
 
「……はっ!」
 
 目時まし時計のアラームが鳴る同じタイミングで目を見開く。
 
 時計を見ると、午前の6時と表示されている。朝日が差し込む時間とはいえ、春になったばかりのこの時期の寒さには少し身体に堪える。
 
 
「今のって……」
 
 不思議な夢を見た気分だったが、それに構っている暇はない。ベッドから起き上がって、部屋から出ると、すぐに支度を始める。
 
 洗面所の鏡の前に立って、肩まで届きそうな黒い髪を整える。学校の制服に着替えると、今度は台所に立って調理を始める。
 
 朝食と自分の昼食用のお弁当を作っていると、時刻は午前7時。少女は朝食を食べ終えるとすぐに片付けて、歯を磨く。それを済ませるとバックを手に家を出る。
 
「行ってきます」
 
 女子高生の姿となった少女が玄関から出て門を潜る。

 肩まで届きそうな短い髪、ラピスラズリを思わせる藍色の瞳、右の目尻には黒子、小柄なれどグラマラスな体型をした少女。
 
 彼女の名は風鳴瑠璃(かざなりるり)。私立リディアン音楽院に通う高校二年生。
 
 
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
 桜舞う通学路。瑠璃だけでなく、瑠璃と同じ制服を着た女子達が通る。だがその一部は、瑠璃を羨望の眼差しで見ている。
 
 同じ女子高生でありながら、どこか外国人選手のような容姿に整った体型をしており、同じ女子からも羨ましがられる。
 
 とはいえ、周囲の目線が気になる瑠璃は恥ずかしさで頬を赤らめる。
 
 その後ろから走る大きな足音が近づいてくる。
 
「やっほー!おはよー瑠璃!」
 
 瑠璃の背後から抱き着いた同級生。いきなりでバランスを崩しそうになるが、瑠璃はなんとか転倒せずに済んだ。
 
「もう……!危ないよ輪」
 
 出水輪(いずみりん)それが彼女の名前である。
 
 瑠璃より身長が高く、赤茶色の髪も背中の半分ほどの長さ、天真爛漫な性格の持ち主、同じリディアンに通う二年生で、クラスメイト。
 
 新聞部に所属しているが、事件やトラブルが起こるとそれを追わずにはいられない。その結末は大概ろくなものではないが、凝りもしない。

 そんな彼女に欠かせないアイテム、それはカメラである。
 
「だって瑠璃は抱き心地がいいんだもん。それにいい匂いがするし」
 
 セリフから少し性癖を拗らせているように見えるが、輪には同性愛の趣味があるわけではない。これは瑠璃に対してのみに行うスキンシップである。
 
「早速一枚!春の通学路に舞う桜が良いアクセサリーになってるよ〜!」
 
 そう言うと、輪はデジタルカメラで瑠璃の写真を撮る。
 
 輪は根っからのカメラガールで、瑠璃の写真を撮るのが日課となっており、データ内には瑠璃を撮った写真が七割を占めている。
 
 瑠璃も最初は撮られる事に抵抗があったのだが、撮られ続けたせいか、余程過激なもので無ければ輪を咎める事をしなくなった。
 
 そうやって話している内に、2人が通うリディアンに到着する。
 
 
 二人は入学前からの仲であり、一年の時も同じクラスであった。今年の始業式でまた同じクラスになった事が分かると、喜びを分かち合うかのようにはしゃいだ。
 
「そういえば翼さんのニューシングルって今日だったよね?」
 
 風鳴翼。彼女の従姉である彼女もリディアンの生徒であり、現在有名なトップアーティストとして活動している。
 
「うん。帰りにCDショップに行く予定なの。」
「なら私も行くよ。どうせ帰っても小夜姉が夜勤でいないし」
 
 その小夜姉というのは輪の姉である。輪の実家は元々遠方で入学にあたって、社会人の姉がマンションに住んでいるというので、一緒に住む事になったとか。
 
 ただ看護師という事もあり、夜勤も当たり前。なので一人でいる事も多いのだとか。
 
「なら、家に寄る?ご飯、御馳走するよ?」
「え?いいの?じゃあお言葉に甘えて!瑠璃のご飯美味しいからなぁ~。こないだ小夜姉が瑠璃のご飯に感動しちゃってさ!」
「そ、そんな……嬉しいけど、逆に恥ずかしいな……」
 
 こうやって他愛もない日常が瑠璃にとっては幸せなものだった。だがある日を境に、その日常が徐々に蝕まれていくことを、二人は知る由もなかった。
 
 
 ☆☆♡
 
 
 放課後、新聞部の活動をしている輪は今日はやる事が多かった為、終わるのが予定より遅れてしまい、気づいたら日は落ちようとしていた。
 輪は急いで瑠璃が待っている図書館へ走った。瑠璃は特にすることがなかったので図書室で本を読んでいた。
 
「ごめん瑠璃!遅くなっちゃった!」
「図書館は静かにお願いしまーす」
 
 図書室という静かな場所に一人騒いでいればかなり悪目立ちしてしまう。他の生徒に注目された輪は萎縮しながら図書室に入った。
 
「輪、そんなに慌てなくても……」
「いや、思いの外時間が掛かっちゃって。待たせるのも悪いかなって」
「私は平気だよ。ほら、目立たない様に行こう」
 
 二人は小声でやり取りして、そのまま目立たないように図書室を後にした。
 
 二人は談笑しながら校門を出て、時には夕焼けを背景に瑠璃の写真を撮っていた。
 
「もう輪ったら、また撮ってる」
「だってこんなシャッターチャンスをみすみす逃すなんて、私のカメラマン精神が許さないもーん!」
 
 憎めない程はにかむ笑顔を見せる輪。瑠璃はやれやれと言わんばかりに呆れるが、そんな輪が好きであり、輪もまた優しい瑠璃が好きなのだ。
 
 そして途中で曲がり角を曲がろうとした時
 
「CD!特典!CD!特典!」
 
 大きな声を出しながらも、曲がり角から急に飛び出した走ってくる少女に気付かず、瑠璃とぶつかってしまう。強くぶつかった為、お互いに尻餅をついた。
 
「瑠璃!大丈夫?!ちょっと!危ないじゃない!」
「痛たた……あっ!ごめんなさい!怪我は無いですか?!」
 
 ぶつかった少女はすぐに立ち上がって、瑠璃に頭を下げて謝罪する。
 
「だ、大丈夫。それよりもあなたの方は……」
「私は大丈夫です!」
 
 ハッキリとした大きな声で、輪に勝るとも劣らない笑顔を見せる。だが輪は飛び出したことによる危険性が高いと注意する。
 
「もう、ちゃんと周りを見なさいよね?自転車や車だったら、今頃……」
「輪、ちゃんと謝ったんだし、もういいよ」
「でも……」
 
 立ち上がった瑠璃は自分の為に怒ってくれている輪を宥めた。当の本人は納得行ってないが、これ以上言っても瑠璃を困らせてしまう為、ここは引き下がる。
 
「それよりも、何か急いでたみたいだけど大丈夫?」
「あぁっ!そうだった翼さんのCDが私を呼んでいるうううううぅぅぅぅー--!!」
 
 少女は再び勢いよく走り出した。
 
「ちょっとー!だから周りに……」
「もう良いってば」
 
 再び輪を宥める。
 
「瑠璃ってば、何で怒らないの?!少しくらい……」
「あの子もお姉ちゃんのファンだと思う」
「そりゃあ見れば分かるよ。けどさぁ……」
「それにあの子の目……」
「目がどうしたの?」
「真っ直ぐに輝いてて、とても綺麗だなって。本当にお姉ちゃんのファンだって分かる」
「あの……瑠璃?もしもし瑠璃さーん?」
 
 別の世界に入りかかっていた瑠璃を正気に戻してCDショップに向かおうとした時だった。瑠璃のスマホから着信音が鳴った。
 
「もしもしお父さん、どうしたの?」
『瑠璃!無事か?!』
「うん。そんなに慌ててどうしたの?」
『お前が先日言っていたCDショップの一帯にノイズが発生している!』
「っ……!」
 
 ノイズ、その名を聞いた瑠璃の表情が恐怖に染まった。
 
 特異災害として世界で認知されている謎の生命体。ノイズは人を襲い、触れればその人間を炭素にしてその命を奪う。
 通常兵器ですら倒す事も、傷も与えられない。故に一般人はノイズが発生したら自壊するまで逃げるしかない。しかしそれでも犠牲者を出してしまうからなお恐ろしい。
 
 瑠璃は自分の父親がそんな特異災害を相手に市民を守る救助隊に所属しているという話を聞いたことがある。ノイズが発生した時には真っ先に危険であると教えてくれる。
 
『まだ学園にいるのか?なら真っすぐ家に帰るんだ!そこまでならノイズは来ない!』
「う、うん!分かった。ありがとう。」
「オジサンから?もしかして……」
「うん。ノイズだって。真っすぐ家へ帰れって……」
「なら明日に持ち越しだね」
 
 2人はそれぞれ変えるべき家に帰る。瑠璃は走って自宅まで走っている。だがその途中である事に気が付いてしまう。
 
「あの子……!」
 
 あの時、走っていった少女の存在を思い出した。彼女もCDショップへと向かっていた。瑠璃は踵を返してCDショップの方へ走った。

 ノイズと遭遇するリスクは承知している。それでも見殺しにする事は出来ない。ただひたすら走る。
 
 コンビニの角を曲がろうとした時、辺り一帯に黒い塵が宙を舞っていた。この塵が炭素化した塵でありノイズか人間が炭となって崩れた事を意味する。

 その角を曲がると、外は炭の塊がそこら中に落ちていた。その形は人の腕をしていた。コンビニの中にも炭となって欠損した足が遺っていた。

 ノイズによる一方的な虐殺を感じ取った瑠璃の心臓の鼓動が早くなる。瞳が揺れ、呼吸も荒くなる。
 
 もしかしたら、彼女はもう……。
 
 そこにスマホの着信音が鳴り、我に返る。ただ不安は拭えず、震えながらもその画面を確認して応答した。
 
『瑠璃!帰ったか?!』
「お……お父さん……。あの子が……」
『どうした瑠璃?!』
 
 今の瑠璃は平静ではない。ここで同じ学校の生徒がノイズに襲われて死んだと想像してしまい、気が気ではなかった。
 
「どうしよう……ノイズが……人を……。私と同じ……リディアンの子が……」
『落ち着け!』
 
 弦十郎のスマホ越しからの一喝でハッとする。
 
『その子がまだ死んだと決まったわけじゃない!俺達が必ず助ける!瑠璃は危険が及ばないうちに帰るんだ!』
「う、うん。ありがとう……」

 着信を切った時には落ち着きを取り戻していた。

「ごめんなさい」
 
 瑠璃は炭塵となった遺体を見てそう言うとその場を後にした。力無き少女には何も出来ない。
 
 
 一方瑠璃が心配していたその少女はというと……
 
「え?!なにこれ?!どうなってるの?!」
 
 謎の装備を身に纏っている事に驚いていた。
 

 ☆☆
 

 翌日。少女の安否が気になったのに加え、父親は仕事で帰って来なかった。一人で朝食を済ませて学校へ向かうが表情は晴れず、その足取りは重い。
 
 無事に逃げられただろうか?それとももう……。そう考えてしまい心が不安でいっぱいになってしまう。
 
(大丈夫かな……)
 
 本日何度目か分からないため息をつく。
 
「響、前!」
「え?」
 
 曲がり角の人影に気付くのが遅れて、出合頭にぶつかってしまった。瑠璃はものの見事に倒された。
 
「痛た……」
「だから言ったのに。すみません、大丈夫でしたか?」
「ごめんなさい。私のせいで……」
「ううん。私は大丈……あ……」
 
 昨日の少女が目の前にいる。悩みが杞憂に終わった瞬間だった。

 
 その少女は立花響と言い、今年入学した新入生。話を聞くと、どうやら道端で困っている人を片っ端から助けていったら色々不幸が重なってノイズの避難警報でシェルター行きになったという。

 響が無事だったという知らせでようやく瑠璃は安堵出来た。だが響の方は助かって万々歳、という表情ではなかった。
 
「ああ……でも初回購入特典が……」
「まだ言ってるの響?」
 
 その隣にいるのは響の幼馴染、小日向未来。響のルームメイトであり、昨夜は遅くまで帰りを待っていたのだとか。
 
 響は初回限定盤が手に入らなかったのが余程悔しかったのか引きずっている。
 
「なら二人とも、私今日CD買いに行くから、それをあげるよ」
 
 その提案は落ち込んだ響をたちまち立ち直らせた。
 
「え?!良いんですか?!」
「でも翼さんのCDってよく初日で完売してしまうことがよくあるって……」
「私、予約してるよ。あるよ初回限定盤」
 
 それを聞いた響は嬉しそうに飛び上がった。聞けば響は翼の大ファンでダウンロードとCDを揃えているくらいだとか。
 お互いに翼談義で盛り上がっていると、もう校舎に着いた。学年が違うので踊場で分かれる事になった。
 
「そういえば名前聞いてませんでした!」
「あ……そうだったね。私は風鳴瑠璃。じゃあまた後でね」
 
 そう言うと瑠璃は先に教室へ向かった。瑠璃の背中を見送った二人だったが、名前を聞いてからあっけらかんになる。
 
「未来……あの人今、風鳴って言ったよね?」
「……うん。私も聞こえた」
 
 二人の間に流れるしばしの沈黙。
 

 ええええええぇぇぇぇぇぇー----?!


 情報が整理された時、彼女達の驚愕の声が響いた。 
 

 
後書き
キャラ紹介

風鳴瑠璃(16)
誕生日:12月28日 B:90 W:57 H:85
パーソナルカラー:藍

リディアンに通う二年女子高生。
黒髪のショート、ラピスラズリのような瞳のタレ目、左目の下に泣き黒子が特徴。
控えめでな争いを好まない性格でトラブルに巻き込まれるとパニックになりやすい。
だが時々大胆な行動に出る事もしばしば。

父親である風鳴弦十郎の影響で映画好きになる。

風鳴翼とは従姉妹であり、トップアーティストとして活動する彼女に憧れはあるも、その冷たい眼差しと言動から内心怖がっている。


出水輪(16)
誕生日:6月21日 B:84 W:58 H:86
パーソナルカラー:緋

瑠璃のクラスメイトで親友。新聞部所属。
茶髪のロングだが、時々ポニーテールやお下げにしたりと髪型を変える。
ミーハーかつ好奇心旺盛。自らの探求心が満足するまで突き進すむが、時にそれが命の危険に晒される事が多い。しかもなかなか懲りないトラブルメーカー。しかも懲りない。
ただ大人顔負けの洞察力から、物事の本質を突く発言も珍しくはない。

看護師として働いている姉の小夜とマンションで暮らしている。

風鳴翼のファンであり、ツヴァイウィング時代から推している。 
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