今も残る封建主義
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第三章
「そうだったな」
「ああ、あれだけ貢献してもな」
「実際に作戦立ててもな」
「それでもな」
そうであったがというのだ。
「結局外様ってことでな」
「一線引かれててな」
「あそこはそうだ」
巨人はというのだ。
「ああしたチームだ」
「全くだ」
二人で忌々し気に話す、そして。
冲田は一呼吸置いてだ、住友に言った。
「特に監督だな」
「ああ、監督な」
住友もまさにと応えた。
「監督はな」
「巨人はな」
「もう絶対だな」
それこそというのだ。
「生え抜きでな」
「スター選手でないとな」
「監督にしないな」
「ああ、それから外れるなんてな」
「あれだろ」
住友は言った。
「藤本さん位か」
「最初の監督さんな」
「何時なんだ」
住友はこうも言った。
「それは」
「戦争前だぞ」
「俺達が生まれる前だな」
「誰が知ってるんだ」
「今時な」
「あそこ九十年って言ってたな」
「創設からな」
即ち九十年の間悪を為してきているのだ。
「そうでな」
「その九十年の間でな」
「生え抜きしかだよ」
「監督にしていないな、しかもな」
冲田は苦い顔で語った。
「スター選手しかだろ」
「監督にしないな」
「看板選手しかな」
「長嶋さんとか王さんとかな」
「藤田さんもそうだったしな」
「三原さん水原さんもで」
「川上の奴や堀内の奴もだ」
彼等もというのだ。
「元はな」
「生え抜きの看板選手だったな」
「若大将もだったしな」
「高橋の兄ちゃんもな」
「ああ、今の阿部君もだ」
「全員な」
住友はまさにと言った。
「生え抜きだからな」
「ある凄いな」
「民主主義だろ、日本は」
冲田に言った。
「そうだろ」
「だから巨人は違うんだろ」
これが冲田の返答だった。
「あそこは」
「封建主義か」
「ああ、だからな」
その為にというのだ。
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