星河の覇皇
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第八十七部第三章 港の整備その六十八
「不思議なものだな」
「はい、確かに」
「人間の矛盾点ですね」
「それの一つですね」
「そうだな、寄宿学校にいた時もだ」
その学生時代もというのだ。
「私は週末は常だったな」
「お家に戻られていましたね」
「学校の近くの別荘に」
「そうされていましたね」
「そうしていた、そして今もだ」
成人し首相になった今もというのだ。
「やはりな」
「同じですね」
「そのことは変わらないですね」
「左様ですね」
「そうだ」
こう言うのだった。
「これは三つ子の魂だな」
「幼い頃に備えたものは一生続く」
「よく言われますね」
「そしてそのことは」
「私もだ」
カミュもというのだ。
「やはりな、だからだ」
「この官邸におられますと」
「どうしてもですか」
「寄宿学校を思い出される」
「そうなりますか」
「どうもな、違う筈だが」
それでもというのだ。
「そうなる、堅苦しいせいか」
「この首相官邸が」
「だからだと言われますか」
「寄宿学校を思い出されるのは」
「そのせいだと言われますか」
「そうかも知れない、官邸の中でもここは特に堅苦しい」
こう言うのだった。
「その造りも宮殿だが」
「かつてのスウェーデン王宮ですね」
「それをモデルにしていますね」
「そして色は黒です」
「黒を基調としています」
「その黒もあるか」
色のこともというのだ。
「そして細部に厳めしい像もある、絵画もな」
「多く飾られていますが」
「生真面目なものが多いですね」
「格調は高いですが」
「それでも」
「そうだな、そのモデルとなった王宮は兎も角としてな」
このことは置いておいてというのだ。
「色と飾られている芸術品がな」
「そうしたものなので」
「どうしてもですね」
「ここは堅苦しい」
「そうなのですね」
「そう思う、寄宿学校は伝統的にだ」
これは名門校の伝統というものだ、長いそれはその中においては法律以上に強いものを持っているのだ。
「規則が多くな」
「自由がないですね」
「あのイートン校もそうですが」
「旦那様が通われていた学校もでしたね」
「そうだった、あらゆることを規則で縛り」
そうしてというのだ。
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