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神々の塔

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第八十七話 釈迦如来その九

「仏教やとな」
「僧侶には負けるな」
「僧兵は格闘もするけどな」
「僧侶は教えに専念してる」
「そやからな」
 それだけにというのだ。
「織田は仏教についてはや」
「よお知ってるな」
「この世界で一番かも知れん」
 そこまでというのだ。
「仏教の知識と理解は」
「その織田ちゃんが言うには」
「お釈迦さんはそうしたことは言うてへん」
「言う方やないな」
「それで日々な」
 まさにというのだ。
「努力してはるわ」
「そやな」
「それでや」
 そうであってというのだ。
「今も修行して己を高めてはる」
「唯我独尊と思われんで」
「そうしてはるわ」
「というか」 
 綾乃は考える顔になって話した。
「解脱して終わりやないからね、仏教って」
「そこからもあるな」
「現にお釈迦さんは解脱しはって」
 そうしてというのだ。
「涅槃に入られるまで」
「修行してはるわ」
「それで涅槃の後も」
「してはるしな」
「解脱は到達点であっても」
「その一つに過ぎんで」
「さらに自分を高められるさかい。うち等かて」  
 綾乃は自分達のことも話した。
「そうやしね」
「ああ、レベルどんどん上がってくな」
「そうやしね」
 こう施に話した。
「唯我独尊なんて」
「お釈迦さんは言ってはらへんし」
「うち等もそう思ったらあかんね」
「そやな」
 施は甘茶を飲みつつ頷いた。
「何でも中学の時誰からも心底嫌われ馬鹿にされてるドキュンが落書きでな」
「そう書いてたんやね」
「それでそいつ県内で最底辺の学校行ってな」
「最底辺の不良やね」
「そうなってな」
 それでというのだ。
「成人式にも顔出してへんかったらしいわ」
「出せへんかったんやろか」
「ドキュン過ぎてな」
「皆から忌み嫌われてて」
「そうかもな、兎に角性根も行いもな」
「何もかも最低やね」
「そんな奴が落書きで書いてたらしいけど」
 施はさらに話した。
「そんなん書く様な奴はな」
「碌な人やないってことやね」
「そうかもな」
「そう思うとお釈迦さんは余計やね」
「そうしたこと言うてはらへんわ」
「そやね、まあ自分がこの世で一番偉いと思う人は」
「その逆や」
 本人がどう思っていてというのだ。
「どうにもならんな」
「そんな人やね」
「そんなもんやな」
「もう思った時点で努力せんから」
「そしてどんどん堕ちていって」
 人としてというのだ。 
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