決戦前夜
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五章
「そうだったのね」
「幸いカウンターにお客さん来なくて」
「ずっと観てたの」
「そこにあるテレビでね」
「それでどうなったか」
「いや、岡本さん出た時冷や汗ものだったけれど」
「最後ね」
「本当に一発あるから」
この選手にはというのだ。
「だからね」
「不安で仕方なくて」
「怖かったけれど」
それでもというのだ。
「けれどね」
「それがね」
「岡本さん三振に取って」
そうなってというのだ。
「夢かと思ったわ」
「シリーズ出場になって」
「ええ」
まさにというのだ。
「そうなったわ」
「そうなのね」
「それで呆然となったわ」
「嬉しくなかったの」
「だから、今も信じられないのよ」
明日夢は静華に真顔で答えた。
「駆け込み三位からね」
「シリーズ出場なんて」
「そうよ、だからね」
「その時呆然となったのね」
「それで今もね」
「そうなのね」
「そうよ」
こう言うのだった。
「嘘みたいよ」
「現実よ」
恵美が横からクールに言ってきた。
「そう思ってもね」
「そうなのよね」
「西武が最下位でね」
恵美は自分が応援するチームのことも話した。
「DENAがシリーズに出るのもね」
「現実よね」
「どちらもね」
「そうよね、そして」
明日夢はさらに言った。
「相手がいることも現実よね」
「ソフトバンクがね」
「いや、交流戦強かったわ」
この時のことを話した。
「正直言ってね」
「勝てないと思ってるとか」
「どうかしらね」
恵美に微妙な顔で述べた。
「それは」
「あのね、あそこ強いわよ」
茜は真顔で告げた。
「冗談抜きでね」
「いや、七連勝したでしょ」
明日夢はその茜に言い返した。
「日本ハムは」
「ペナントでね」
「日本ハム後半強かったじゃない」
「戦力が揃ってきてね」
「新庄監督の采配もよかったし」
「それでクライマックスでもね」
「ロッテに連勝したじゃない」
このことを言うのだった。
「だからね」
「それでよね」
「そう、もうね」
それこそというのだ。
「一戦目は落としても」
「佐々木朗希さん強くて」
「二戦目九回でホームランでて」
「万波さんのね」
「サヨナラして」
「清宮さんがね」
「三戦目も勝って」
そうなりというのだ。
「強かったでしょ」
「けど負けたでしょ」
茜はクールに言った。
「ファイナルで」
「そのソフトバンクに」
「三タテでね」
その流れでというのだ。
「負けたから」
「強いのね」
「だから十三ゲーム差つけて優勝したのよ」
茜は明日夢に真顔で言った。
ページ上へ戻る