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帰る場所があるということ

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第一章

「北海道もいいけれど」
「沖縄もいいでしょ」
「そうだろ」
「ここで生まれ育ったからね」
 実家の居間で両親と一緒に泡盛を飲みつつ話した、札幌ではビールやワインをよく飲むが今はそちらだった。
「それにね」
「それに?」
「どうしたんだ?」
「帰るお家があるって」
 こうもだ、両親に話した。
「いいわよね」
「ああ、それならね」
「そうだな」
 両親も確かにと頷いた。
「尚更な」
「いいわね」
「帰る場所があるって」
 そうであることはというのだ。
「それだけでいいわ、一人でずっといてもね」
「いざそうした場所があるとね」
「それだけでな」
「嬉しいわ、だからね」 
 そうであるからだというのだ。
「年に一回でもね」
「絶対に帰ってきてるのね」
「そうなんだな」
「そうなの。やっぱりいいわ」
 笑顔で言ってだった。
 伊沙子はミミガーやゴーヤチャンプルを食べて泡盛を飲んで楽しんだ。そのうえで実家での日々を満喫してだった。
 北海道に戻ると会社の昼休みにラーメンを食べた、それで会社に戻って働いてそれで言うのであった。
「午後も頑張ります」
「うん、札幌ラーメン食べてだね」
「元気が出ましたから」
 遠井にそれでと話した。
「そうします」
「宜しくね」
「沖縄に帰って英気も養いましたし」
「尚更だね」
「頑張ります」
 こう言って午後も働いた、そしてだった。
 北海道で結婚して家庭を持った、それからも年に一回は実家に家族を連れて帰った。そうして変える場所の存在を心から実感し喜ぶのだった。


帰る場所があるということ   完


                     2024・10・25 
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